金融庁、第一四半期報告書XBRL化の結果報告を公表
金融庁は、10月21日に「第1四半期に係る四半期報告書におけるXBRLデータの提出結果」を公表しました。
http://www.fsa.go.jp/search/20081021.html
これによれば、初めてXBRL化された四半期報告書の提出は大きな混乱もなく順調に行われたとのことですが、提出されたXBRLデータの一部において改善すべきと思われるものが発見されたそうです。
金融庁では、これら改善すべき事項の例を取りまとめ、既にEDINETへ提出済みのXBRLデータについても、これらに該当するものを発見した場合にはXBRLを修正のうえ再提出を検討するよう呼びかけています。
XBRL化に伴い四半期連結財務諸表規則等が改正になっているにもかかわらず、その趣旨が理解されずに誤って作成している例が見られるようです。
以下、金融庁が掲げている改善すべき事項についてコメントしてみます。具体例は金融庁HPをご覧ください。
1.勘定科目の選択にあたり、EDINETタクソノミの勘定科目を使用せずに、同等の勘定科目を独自の科目として追加している例
(1)EDINETタクソノミの勘定科目と同一表記かつ同一意味(財務諸表における区分及び各種定義等が同一)の勘定科目を追加している例
これは、タクソノミに当該科目があるのを見つけられなかった。並び順が自社と違った。業種が違うなど理由が色々あると思いますが、一般的には、EDINETタクソノミの科目を使う必要があります。印刷会社に自社のやり方が一般的に適切なのかを確認したうえで、訂正及び第2四半期に向け対応する必要があります。
(2)EDINETタクソノミの勘定科目と表記は異なるが、同一意味である勘定科目を追加している例
これについては、今回のEDINET XBRL化に伴う勘定科目変更の取り扱い及びその趣旨を十分に理解していなかったケースが多いのではないかとも思われますが、正当な理由による表示方法の変更ということで認められます。絶対にあってほしくないですが、監査人がこの取り扱いを理解せず誤った指導をしているケースがなかったか懸念があります。これについても、訂正及び第2四半期に向けての対応が必要かと思われます。なお、同一意味かどうか微妙なケースもありますが、そこは監査人と協議ということになるかと思います。同一といえるかどうか微妙な場合に無理してEDINETタクソノミの科目を使うことまでを強制しているわけではありません。
(3)EDINETタクソノミの勘定科目と同一表記かつ同一意味であるが、英語表記の異なる勘定科目を追加している例
これは、当初からある程度予想されたことではあります。つまり、例えば、日本語で「売掛金」といっても、英語では実に様々な科目表記が使われており、また、海外投資家からの訴訟リスクなど考えた場合に、いかに金商法上「参考情報」であってもおろそかにできない、という事情があります。グローバル化した大企業ほどその傾向が強いですから、なかなか解決しないのではないかと思います。参考情報である英語科目表示のために、本来の趣旨がゆがめられるというのは本末転倒ではないかと思います。金融庁としてもやり方の見直しを検討すべきではないかと個人的には思っているのですが。
(4)区分損益を示す勘定科目を追加している例
これについては、明らかに理解不足ということかと思います。時間があれば恐らく印刷会社のほうで修正したのではないかと思われますが、これも訂正・見直しが必要かと思います。
2.企業別タクソノミの設定にあたり、計算リンクの設定を誤っている又は設定が漏れている例
これについては、印刷会社のほうできちっとチェックしてもらうしかないでしょう。
3.報告書インスタンスでの金額設定にあたり、入力値の桁数を誤って設定している例
これは、原因はわかりませんが、表示単位が異なる財務諸表同士を比較する際には円単位をベースに比較するので、おかしな結果が出てしまいます。「金額入力は円単位」「画面表示のための金額単位は別途設定」という考え方を覚えておきましょう。これも、明らかな間違いなので訂正が必要です。
4.提出されたXBRLデータより、一部の財務諸表が欠落している例
これは、提出時の不注意ということになるとは思いますが、XBRLデータを提出しなければHTMLデータも作成されないため、EDINET上一部欠落した財務諸表が画面表示されることになり、仮登録した段階でチェックすればすぐにわかるはずです。また、監査人も正式なものではないものの、自分たちが監査した対象の財務諸表とEDINETに掲載された財務諸表が同一かどうかを確かめることになると思いますので、その段階でも気がつきそうなものですが、どうなのでしょう?
5.その他の留意点
・債権又は固定資産等に係る純額表示又は総額表示の際に使用する勘定科目
これは今回の財規等の改正でXBRL家に伴い変更になった点ですが、純額表示の場合には「(純額)」とついた科目を使用することになります。今までなじみがない科目で、戸惑ったのかもしれませんし、減価償却の表示の仕方がよく理解できていなかったということかもしれません。監査人がHTMLをチェックする時にも気づくはずなのですが。これも、早めに対応しておけば印刷会社のほうである程度指導してくれたはずですので、第2四半期に向け、速めに印刷会社と調整しておくとよいと思います。 厳密にいえば、「(純額)」がついていなければ四半期財規違反ということになり、XBRLデータだけではなくHTMLデータも訂正(つまり訂正四半期報告書)ということなのですが、そこまで求めているのかどうかは定かではありません。
・各企業で追加した勘定科目の英語名称
これも、中小規模の上場会社では英語開示のノウハウがなく、こういうことが起こりうるということはある程度予想はされていましたが、果たして改善されるのでしょうか。
他の項目については、本来印刷会社のほうでチェックしていれば防げたミスではありますが、初めての四半期決算と重なったということもあり、恐らく時間がなかったのでしょう。タクソノミそのものは決算が締らなくても先に作っておくことは可能ですし、第2四半期では第一四半期で作成したものを使うことになるので、今のうちに見直すべきものは見直し、先にタクソノミの修正をしておいた方がよいのではないかと思います。年度決算についても早めにタクソノミを作成し、印刷会社や監査人(表示方法の変更の場合)にチェックしてもらうべきでしょう。
なお、日本公認会計士からは、監査人に対して同様の通達が出されています。
「第2四半期以降のXBRL形式による四半期連結財務諸表等の作成に向けた監査人の留意点について― 第1四半期の四半期連結財務諸表等の分析を踏まえて ―」
http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/post_1060.html
こちらにも目を通していただくことをオススメします。監査人とも、事前に該当する事項がないかを確かめておかれてはいかがでしょう。万が一にも「知らなかった」などということはないと思います。
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