EDINET XBRL化に伴う監査への対応
いよいよ初めての金商法ベースの四半期決算が佳境を迎えています。まもなく監査人のレビューもはじまることと思います。
今日は、EDINET XBRL化に伴い、経理担当者が監査またはレビューにどのように対応すればよいか、JICPAの公式文書をもとに考えてみたいと思います。
JICPAの公式文書そのものは以前にご紹介していますが、改めて読み返してみます。
http://bcj.way-nifty.com/xbrl/2008/06/jicpa_edinet_xb_d90c.html
1.XBRL文書そのものは監査(レビュー)対象ではない
XBRL文書は、EDINETに正式に提出されるのですが、実は、XBRL文書自体は監査対象ではありません。また、監査人の多くはXBRLを処理できるツールを持っていません。したがって、XBRL文書(ファイル)の提出を監査人から求められるケースは極めてまれではないかと思います。逆にいえば、XBRL文書が適切に作成されているかどうかは、会社の責任でチェックしなければなりません。印刷会社のXBRL作成機能の中にも、EDINETの登録機能の中にも様々なチェック機能が組み込まれていますので、入力等さえ間違わなければ大丈夫とは思いますが。。。
監査報告書(写)にも記載が・・・。
EDINET上に掲載される監査報告書(写)には、JICPAが定めた決まり文句が入ることになります。そこには、XBRL化された財務諸表が監査対象ではない旨が記載されることになります。印刷会社に任せている場合には問題ないと思いますが、自社で監査報告書のHTML化をしている会社は要注意です。
2.HTML化された財務諸表の提出を求められる
従来と同じように、XBRL化された財務諸表(XBRL文書)ではなく、HTML化されたファイルまたはそれをブラウザ(IE)を使って紙に印刷したものの提出を監査人から求められます。監査人はHTMLで渡せばそれを画面を見てチェックするか紙に打ち出してチェックするか、または会社が印刷したものを見てチェックすることになります。
HTMLファイルは、印刷会社の提供する仕組みを使ってXBRLファイルから作成することもできますし、EDINETに仮登録してEDINETの機能を使って作成することもできます。正式にEDINETに提出するのは、EDINETの仕組みを使って作成されたHTMLファイルですが、印刷会社の仕組みを使っても、ほぼ同等のものができます。EDINETへの仮登録は、提出直前ということになる場合もあり、監査に間に合わない可能性もあるので、監査人と相談して、どのタイミングにどちらから作成されたHTMLまたはその印刷物を提供すればよいかを聞いておくといいでしょう。監査人は、もしかしたら印刷会社の仕組みを使ったものをチェックし、それとEDINET上で生成されたHTMLが同一内容かどうかを確かめるといったことをやるかもしれません。
今回のXBRL化の対象はあくまで財務諸表本表なので、それ以外の部分は、従来と全く同じ扱いになります。
3.勘定科目の新旧対照表を作成しておく
四半期は当期が初めてなので関係ないかもしれませんが、期末において、XBRL化に伴い勘定科目をEDINETタクソノミに定義されている科目に変更する場合に、監査人は、その変更が妥当かどうかを検討することになります。変更の理由はすでに金融庁より「正当な理由による変更」として取り扱うことが明確にされていますので、あとはその勘定科目で表示して本当にいいのかということを判断することになります。その際に、新旧対照表、または組替表等を作成提示し、変更点が明確にしておくとよいのではないかと思います。
決算監査時は内部統制監査もあり忙しいので、早めに監査人に相談しておくとよいでしょう。
4.財規様式の改正に注意
この四半期から財規等に定められている財務諸表の様式が大幅に変更になっています。今までのような罫線がありません。また、株主資本等変動計算書が縦型になっています。百分比、構成比の記載もなくなりました。
http://bcj.way-nifty.com/xbrl/2008/06/xbrl_c416.html
いずれも、XBRL化に対応した改正ですが、これを「見栄えが悪い」ということで、従来どおりの様式でHTMLで作成するのはNGです。いかに見栄えが気に入らなくても、EDINET上でXBRLから自動的に生成されるHTMLをイメージして財規様式が作られていますので、あくまでXBRLからEDINET上でHTMLを作成していただく必要があります。社内の偉い方や監査人の偉い先生には、事前に改正の趣旨をよく説明しておきましょう。
5.内部統制報告制度(J-SOX)における取り扱い
以前、XBRL化作業も決算財務報告プロセスとして評価対象になる可能性があるということを述べたことがありましたが、XBRL文書そのものが金商法上の正式な開示書類ではないという取り扱いになったため、従来と同じようにHTMLファイルを画面表示または印刷して、原稿とあっているかをチェックしていれば、印刷会社を外部委託先としてその内部統制を評価する必要がないといえるのではないかと思われます(全くの個人的見解ですが)。確かに、印刷会社の提供するITを利用して有価証券報告書等のHTMLファイルを作成していますが、だからといって、そのITに係る統制を評価しなくても、原稿と結果があっていることを確認すればそれでよい。XBRL文書は、本来画面表示や印刷しただけではその正確性は確かめることができないのですが、どちらかといえば、HTMLファイル作成のための中間生成物、副産物のような扱いで提出だけは強制という法的な位置づけになっているようなので、内部統制評価上無視しても。。。
ちなみに、EDINETのXBRLダウンロードページを見ると
「XBRLデータのうちEDINETにて公衆縦覧に供されていない情報については、金融商品取引法上で定められた開示情報ではありません。当該データは、利用者の責任において利用頂くことにご留意下さい。 」
とあります。
6.英語勘定科目は監査対象外
XBRL文書から作成されるHTMLファイルには含まれませんが、XBRL文書をXBRLツールで読むと英語の勘定科目を表示させることができます。この英語の勘定科目についても、監査の対象ではありません。あくまでHTMLで表示される科目だけが監査対象です。
EDINETタクソノミに設定されている英語勘定科目はそのまま使うことになっていますが、勘定科目を独自に追加する場合には、自社で英語勘定科目を設定しなければなりません。その勘定科目名も監査の対象外です。
EDINETには次の記載があります。
「一覧表よりダウンロードされるXBRLデータに含まれる英語情報については、参考訳であり、その正確性が保証されるものではありません。」
このように、勘定科目の妥当性等を除けば、監査対応自体はいままでとあまり変わらないということになります。
いずれにせよ、初年度で監査人も十分に理解していない可能性もあるので、できるだけ早い段階で対応を協議しておくことをオススメします。
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