J-SoX Q&A再追加公表
以前予告したとおり、金融庁は4月2日に、「内部統制報告制度に関するQ&A」の再追加を公表しました。
新たに主として以下の内容の24問を追加。
◇「重要な欠陥」の判断(問68~70、75、77)
◇子会社の売却・業績悪化等により重要な事業拠点の選定指標が一定の割合に達しない等の場合の取扱い(問73、74)
◇内部統制報告書の記載内容(問101~107)
重要な欠陥については、判断基準や金額的影響額の算定方法といったことではなく、実務的に決算早期化の影響でチェック前の決算書を監査人に見せて指摘を受けた場合とか、決算短信の修正があった場合に、直ちに重要な欠陥になるわけではないといったことが記載されています。
「内部統制報告書の記載内容」は、いわば記載例、文例ともいえます。いままでずっと「記載例は公表しない」といい続けてきた金融庁ですが、アンケートや問い合わせの結果を踏まえ、実務の混乱が予想されることに配慮したのでしょう。
一応、「記載内容については、各企業の実情等に応じて記載することが適当であり、記載内容の例については、あくまでも参考であることに留意する必要がある。」という立場は崩していないものの、事実上のスタンダードになるのではないかと思われます。
この中には、監査人の過度な要求(といおうか、実施基準に対する誤解による誤った指導)により、期末直前になって評価範囲の変更を余儀なくされそうになっている上場会社にとっては「救い」となるようなものが含まれています。
例えば
「企業が重要な事業拠点を選定する際の一定割合として、「概ね2/3」というように選定の方針を記載しているのであれば、実績値は不要であり、方針とした一定割合を記載することで足りるものと考えられる。」
というのであれば、業績の変動等があっても2/3を絶対に割り込まないように、保守的に評価範囲を広めに取っておくといったことも必要なくなります。
今回一番驚いたのは、内部統制報告書文例の中で、「内部統制を整備せず評価を実施しなかった場合」の文例が示されていることです。こんなことは元々想定外ではあったはずですが、実際にふたを開けてみると、こういう上場会社も現実に出てくる可能性が十分あるということと、仮に、「内部統制を整備せず評価を実施しなかった」ということで、結論不表明の内部統制報告書を提出し、同じく監査意見不表明の内部統制監査報告書が提出されてもペナルティがないこともあり、初年度はある程度やむなし、という実質的な救済策を提示したともいえます。しかも「やむをえない事情で」評価できなかったということではない以下のようなケースを想定していることには正直驚きを隠しえません。
「財務報告の信頼性に関するリスクの評価と対応を実施しなかった理由は、連結グループ全体において、間接部門を中心に人員を削減しており、連結子会社において経理及び財務の知識・経験を有した者をリスクの評価に従事させることが困難であったためである。」「一方、財務報告に係る内部統制の整備及び運用の重要性は認識しており、これらの人員の制約はあるものの、環境を整備し、今後×年間で評価を完了させる方針である。」
これで許されるなら、今までの苦労は一体なんだったのか?と怒られる方もいらっしゃるかもしれません。整備を数年かけて、ではなく、評価そのものも数年かけてということなのです。
おりしも世界的な不況で、リストラが盛んに行われつつありますが、それで内部統制評価ができなくてもやむなし、というくらいの感じにも見えます。制度は導入するが、実質的には出来なくても仕方がないという妥協です。制度の緩和または「徳政令」といってもいいかもしれません。ただ、元々、評価自体が目的というよりは、内部統制を整備して適切な財務諸表を作成することが目的なので、そういう意味では、極めて現実的な解決をしたのかもしれません。
いずれにせよ、かなり衝撃的な内容も含んでいるので、是非早いうちに目を通されることを強くおススメいたします。
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