2009/12/28

年忘れブクステフーデ

今年も残すところあと数日。

ヘンデル、ハイドン、メンデルスゾーンに明け暮れた今年の最後を飾るのは、なんとブクステフーデ。それも二本のVnにガンバ、通奏低音という渋~い編成。しかもメンバーが、若松夏美さん、荒木優子さん、平尾雅子さん、そして上尾直毅さんという豪華メンバーだからマニアックな古楽オタクにはたまらない。演奏者自身が「マニアック」といってはばからないくらいなので、間違いなくそうなのでしょう。こんな年の瀬にこんなマニアックな演奏会を企画して、果たして客が集まるのだろうか? そんな演奏者の期待といおうか不安を見事に裏切って、近江樂堂が満員札止め。プログラムが間に合わず急遽コピーするほど。

演奏も渋くて熱い。クールビューティーといってもよいかもしれません。個人的にはラインケンが最も印象に残りました。

最近、こういう小さなコンサートに行く機会がめっきり減りましたが、自分が忙しいというのもあるのでしょうけど、そもそもこういうメンバーでこういう曲目というのがめっきり減っているような気がします。でも、こういうのがもっと聞きたい。もっとやってほしい。そんな気持ちをよりいっそう強く持ちました。

さて、平尾雅子さんがオルティスの装飾法(ディミニューション)の著作を翻訳しました。なかなか実践で生かすことはできませんが、やはり、古典派以前の音楽を演奏するのに、この知識は絶対に必要です。後期バロックや古典派では、即興でディミニューションをやることはなくても、そもそも、作曲家自体がオルティスの書いた方法を応用してディミニューションの形で書いているので、それを意識するとしないとでは、ずいぶん楽譜の見え方が変わってきます。1月中旬発売のようです。

いったい来年はどんな演奏が聞けるのでしょうか?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/12/06

BCJ「リナルド」でレイチェル大爆発!

今日は、東京オペラシティで、BCJのヘンデル「リナルド」を聴きました。今年の夏のイギリスツアーで演奏されたものを日本でも聴けたわけです。

主な歌手は、ソプラノの森麻季さん、おなじみのレイチェル・ニコルスさん、カウンターテナーはなんと若手を4人も。バスは萩原さん。

男性歌手はバスの萩原さんを除き全員カウンターテナーという、極めて珍しいパターン。普通は英雄役の一人程度なのに。

全部で3幕の長いオペラ。第1幕は正直冗長で、まったりした雰囲気がずっとただよっていたのですが、それを打ち破ったのが、打楽器の雷鳴と魔女役のレイチェルさんの強烈な声。そこから全体が一気にヒートアップ。第2幕では森麻季さんの有名なアリアでこの日初めて激しい拍手が。そのあとは物語りも演奏も緊張感を増して劇的に。演奏会スタイルなのに、レイチェルさんのあのからだをめい一杯生かしたちょっとした演技が迫真で、しかもコミカルな笑いをさそうという、まさに娯楽オペラならではの光景。第2幕が終わったところでまるで終幕のような万雷の拍手。お客さんも盛り上がってしまった。これでは第3幕はどうなってしまうのだろう。演奏会形式でこんなに盛り上がることがあるのでしょうか?

第3幕は、ものすごい速さでストーリーが展開。無理矢理結論にもっていているのではと思うような、かなり強引な展開。そんな中で、レイチェルさんと萩原さんのコンビが笑いと強烈な印象を残す。あくまでまじめなリナルドとアルミーダとは対照的で、超個性的。主役を食ってしまうのではないかという存在感。

オケも歌手もかなりノリノリ。ステージ上で笑顔が絶えない。ヘンデルは気持ちがいい。

レイチェル・ニコルスという歌手。最初は代役とか2番手とかいうイメージでしたが、この日も含め、もう立派な主戦級、BCJを代表するゲスト歌手。また新たな存在感と魅力を存分に印象付けた、そんな演奏会でした。長かったけど、楽しかったです。年末のメサイアが楽しみ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/10/19

29番で始まり29番で終り、1番で新たな旅立ち

OLCのコンサートに行った。

今回が浜離宮朝日ホールでの最後のコンサートになるらしい。厳密にいえば、朝日新聞主催とかがなくなるということかと思うが。曲目はMozartの29番、ハイドンのV字、そしてベト1。

29番といえば、OLCの第1回もこの曲だった。10年以上前に私がアマオケで初めて秀美さんの指揮で弾いた時もこの曲だった。単なる偶然なのか、それとも意図したのかはわからないが、節目には必ずこの29番が登場してくる。そして、OLC結成から今日までの20回を越えるコンサートを通じて、こんなにも変わったのか、と改めて驚いた。若々しくも時々力んでいた当時と比べると、はるかに成熟している。ここまできて、やっとOLCの味わいがじわりと出てきた。しかし、ここで浜離宮朝日ホールでのシリーズが終わるというのも何とも残念。V字も面白さだけでなく、何かスケールの大きさを感じる。アンサンブルもいい。息もぴったりだ。

そしてベト1。モダンオケには人気のないといおうか滅多に演奏されない1番だが、古楽ファンの間では人気があるし、比較的よく取り上げられる。ブリュッヘンが18世紀オケで衝撃的な古典派CDデビューを果たしたのもベト1。他団体でも、スタートにはこのベト1がよく演奏される。何か新しい時代が始まるというときには、ぴったりの曲のようだ。OLCもいままでの集大成であったと同時に、新たなスタートとしてこの曲を選んだのかもしれないし、まさにそういう演奏だった。

メンバーも演奏していて楽しそうだった。

いままでも数々の名演を聞かせてくれたOLCだが、今回はその中でも最高の部類に入るかもしれない。

来年からは東京文化会館小ホールだそうだ。朝日新聞、浜離宮朝日ホールには心からの感謝の意を表したい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/06/12

新有田オケ誕生!

1980年代も終り頃、18世紀オケに遅れること10年、念願の本格的古楽器オーケストラが産声を上げる。東京バッハ・モーツァルト・オーケストラ。バロック音楽しか聞いたことのなかった古楽器ファン、モダンオケでの演奏しか聴いたことのなかった一般音楽ファンに、新鮮な驚きと喜びを与えてきた。バブル崩壊を初めとする何度もの危機を乗り越え20年、奇跡の復活を遂げ、ついに、ロマン派、古典派をメインレパートリーにする新しいオーケストラへと変身した。

「クラシカル・プレイヤーズ東京」

これが新しい有田オケの名前だ。バッハの名前を捨て、古典派以降のレパートリーへと向かうのか。そして古楽器によるロマン派演奏への扉を開ける。東京バッハ・モーツァルト・オケの創立メンバーたちも客席でこの瞬間を静かに見守っていた。

この日は、モーツァルトの序曲のあと、有名なメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲、いわゆる「メンコン」を演奏。あまりによく知られたこの名曲を、古楽器でどのように演奏するのか。しかも、モダン楽器の名手をソリストに迎えてロマン派以降の協奏曲を演奏するという試み。これほど有名でありながら、生を聴くのは初めて。そして、メインはベートーヴェン英雄交響曲。

個人的には、このオケの最大の売りは、本間・堂阪両巨匠の「黄金の二枚舌コンビ」ではないかと思う。この二人が吹き始めると全体の雰囲気がガラッと変わる。本間節、堂阪節健在である。共に某在京モダンオケの首席奏者であるが、他のモダンオケの二枚舌もこのくらいの演奏をしてくれたらどんなに幸せであろうか。もしここに有田さんのフルートが加わったら、というようなことは考えてはいけないのだろうか・・・。いや、やはりもう一度聞いてみたい。

若手中心(特にVn)でまだまだ荒削りではあるが将来の可能性を感じさせる新有田オケ、個人的には、ベートーヴェンよりも、初期ロマン派をもっと取り上げてほしいと思う。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2009/05/23

G.Leonhardtまだまだ健在

5月上旬、F.ブリュッヘンをして「彼はバッハだ!」といわしめた、あのG.Leonhardtが来日。お得意のレパートリーを惜しげもなく披露した。

御歳81歳とは思えない凛々しい姿でステージに登場する様は、20年前もかわらず。まさに、「紳士」と呼ぶにふさわしい。

今回は、G.Frescobaldi、J.Froberger、A-L.Couperin、D.Scarlatti、G.ベームなど、若い頃から今日まで得意とし、また彼がこれまで世に知らしめてきた作曲家の名品を集めたもの。得意な作曲家で入っていないのが、L.Couperin。入ってはいたものの極めて控えめな扱いをされていたのがあのJ.S.Bach。

私は第一生命ホールで2公演、トッパンホールで1公演聴きましたが、中でも第1生命ホールでの2公演目がすばらしかった。

さすがに20年前のように、気合が入りすぎて床を「ドン」と踏みつけるようなことはなくなり、ギラギラしたものも全く影を潜めてしまいましたが、3日目のA.フォルクレの曲は、往年の気迫あふれる演奏を思い出させるような演奏でした。

G.Leonhardtは昔からいつも冷静沈着で物静かな紳士というイメージですが、音楽を聴いていると、かなり熱く激しく強い面を持っているように思えます。そうでなければ、数々の障害を乗り越えて古楽を今日の繁栄にまで導くことは到底できなかったでしょう。そして、あのタッチも生まれなかったでしょう。

今回、曲間で指をさするしぐさが何度も見られ、また、指が出ている手袋を左手にしているなど、体調は必ずしも万全ではなかったのでしょう。かなり心配ではあります。

果たしてもう一度来日することがあるのでしょうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/05/14

LFJ2009を振り返る

GW中に行われたラ・フォル・ジュルネ。今年のテーマはバッハ。3日間東京国際フォーラムに通い詰めで、精根尽き果てて感想を書く元気もなく・・・。

寺神戸さんや有田さんも聴きたかったのだけど、早々とチケット売り切れで断念。「いつでも聞けるから今期は譲ってやるか」と負け惜しみを言いながら、他のコンサートに。90年代以降に台頭してきたドイツやイタリアの団体も聴こうかと思ったけど、3日間ではとても無理、ということでこれも断念。結局、相変わらず、オランダ、ベルギー系の団体、そしてBCJをひたすらはしごすることに。それも、宗教曲(ミサ、カンタータ、受難曲)ばかり。協奏曲、管弦楽組曲の類は、最後の1つを除いて一切なし。もちろん、モダン楽器は最初から考えず。

初日は、本来、夜の最終公演でリチェルカーレ・コンソートのヘンデル「メサイア」の予定が、不景気による財政難で公演中止。その代わり、LFJ出演者によるリレーコンサート。最初はモダン楽器で2曲の協奏曲。そのあと、二人のジャズプレーヤー(小曽根真、中川英二郎)によるバッハを素材としたジャズ演奏。これがすばらしい!バッハのオリジナルを弾いてもそんじょそこえらのモダン奏者よりはるかに上手くて、アーティキュレーションなども完璧。そして超絶技巧のノリノリジャズ。ガンバソナタをトロンボーンで演奏するなど信じられない。昔から、バッハはジャズの素材に向いているといわれますが、全くその通り。これは今回のLFJの隠れた目玉になった!

そのあと、フランスの某古楽団体が登場するも、なんだか物足りない。音楽性もアンサンブルのレベルも。古楽器でやるならもう少しやりようがあるだろうに。かなりがっかり。

そして、大トリは、自分的には今回の目玉であるリチェルカーレ・コンソートが登場。しかも、J.Christophバッハの宗教曲を演奏。VnはF.Fernandezという最高のメンバーで、いかにも彼ららしい渋くて味わいのある演奏を聴くことができて感激!メサイアの3時間よりもこの10分の方がはるかに満たされる気分になったような気がしました。翌日からの演奏に期待が持てます。

2日目は、そのリチェルカーレ・コンソートの「マニフィカト」「小ミサ」からスタート。どちらかというと、小ミサがすばらしかったです。合唱はソリスト編成。ソリストが合唱もかねています。それだけにすばらしいアンサンブル。オケのトップは、F.Fernandezではなく、ミト・デ・ラルコの2nd Vnソフィ・ジェント嬢。寺神戸さんの一押し若手ですが、ミト・デ・ラルコでは、大物に囲まれていささか遠慮がちだったのが、この日は生き生きと思い切りよくアンサンブルを引っ張っていました。

そのあとは、アンタイ兄弟のル・コンセール・フランセによるカンタータ。日本人若手が二人乗っていました。そして、先ほど、リチェルカーレ・コンソートにいたメンバーがここにも。姉妹団体のようなものですから、メンバーを使いまわしか。大きなホールでやや残念。

夕方は、再びリチェルカーレ・コンソートで、カンタータ4番、131番。今度はやや小さな編成。ガンバも入ってより渋いサウンドになっています。最近、CD化され私のお気に入りですが、これはすばらしかったです。涙が出るほどです。今回のベストコンサートといえましょう。

夜は、BCJのヨハネ第4稿。なんと前から2列目のやや右。Vnからまるみえで、ものすごく緊張しました。普段なら絶対に座らないのに、自動的にそこになってしまった。ソリストがいつもとはやや違う面子。ソプラノは当初別の人の予定が、急遽レイチェルに。またもやピンチヒッター。でも内心よかったとも。「代役」にしてはよすぎる。定期でも「代役」からいまやレギュラーだし、それにふさわしい歌を聞かせてくれる。安心できる。エヴァンゲリストは残念ながらゲルトには及ばず。そして、バスは、BCJでもおなじみのシュテファン・マクラウド。実は、リチェルカーレ・コンソートでも歌っているので、この日聴くのは三回目。その他、BCJのカンタータもあったので、1日4公演という酷使ぶり。しかもいずれも合唱パートも全部歌わされるし。正直、心配できがきではなかったです。器楽奏者の使いまわしもそこそこあるけど、これはあまりにも過酷ですね。でも、歌はすばらしかったです。

最終日は、リチェルカーレ・コンソートの室内楽から。ラインケン、ブクステフーデ、バッハ、ゴルドベルクの作品。Vnはフランソワ・フェルナンデス&ソフィ嬢、ガンバは、フィリップ・ピエルロ&上村かおりさんという黄金メンバー。特にラインケンとブクステフーデがすばらしかった。バッハのガンバソナタは、普通はVnソナタとして演奏される通奏低音付ソナタですが、あの曲をガンバで弾いてしまうとは驚きです。最後は、伝バッハ、実はゴルドベルクによるVn2本のトリオソナタ。若い頃によく弾いた曲なので、とてもなつかしく。こんなにフランソワのVnが聴けるなんて・・・。

そのあとはBCJのカンタータ78番、30番。狭くてあまりよくない会場の端の方に座ることになり、Vnのひじと右手の使い方を後ろから研究。30番は世俗カンタータのパロディ。

一度家に帰って練習したあと、夜再び国際フォーラムに。最後は、知人から譲り受けたスウェーデンのドロットニングホルム・バロック・アンサンブルを聴く。Vn協奏曲1番、Cem協奏曲1番など。この団体、昔からCDできいていて結構気になっていた団体。やっと生で聴くことができました。私的には「北欧のCMW」と呼んでいます。実際にアーノンクールの影響も受けていそうですし。ステージ上にメンバーが現れてびっくり。なんと、チェロの山廣みめさんがいるではないですか!北欧の方でやっているといううわさを聞いていましたが、まさかこことは。そして、全体的にゆるーい雰囲気。リチェルカーレ・コンソートとは正反対です。演奏も正反対。遊び心には満ちているのですが、イタリアあたりの一部の過激団体と違って、決して下品にはならないところが不思議。そして、何より、通奏低音がいい。雄弁だし。山廣さんも生き生きとアンサンブルをリードする存在になっていました。久々にVn協奏曲も聞いたし、最後に満足。

それはそうと、会場は、もともと会議、セミナー、研修用なので、音響は決してよくはなかった。にもかかわらず、リチェルカーレ・コンソートにしてもBCJにしても、音がものすごくきれいで、音響の悪さを感じさせなかったことに驚きました。ホールの響きのおかげできれいなのではなく、元々の音が、我々には到底真似できないような美しさだったのです。楽器の質もあるのかもしれませんが、それにしても、どうやればあんなにきれいな音が出るのでしょうか?

ということで、最後はくたくたでしたが、楽しく3日間を過ごすことができました。そして演奏する元気をもらいました。やはりバッハはすばらしい。もっとバッハを演奏したいと思いました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/05/11

キー・トランペットによるハイドン協奏曲(5/17)

今年は、J.ハイドン没後200年。これにちなんで、ハイドン兄弟のミサをはじめとする宗教曲の演奏会を開催します。

東京クラシカルシンガーズ&オーケストラ・オン・ピリオド東京
第8回演奏会 「すごいぞ ハイドン!」
ヨーゼフ・ハイドン没後200年記念

http://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/event/2009/05/event196.html
                               
Franz Joseph Haydn
Missa in angustiis in d Hob. XXII:11 「ネルソン・ミサ」(1798)
ソリスト  本宮廉子、 北條加奈 、 鏡 貴之、 春日保人
Concerto per il Clarino「トランペット協奏曲」 Hob.VIIe:1 (1796)
キー・トランペット独奏 中村孝志(OPTメンバー)

大変珍しい楽器です。

(写真はこちら)
http://www31.ocn.ne.jp/~nhajime/opt/#next

Johann Michael Haydn
Missa Sanctae Crucis MH 56「聖十字架のミサ」 (1762)
Te Deum in D MH 829「テ・デウム」(1803)

【指揮】 坂本 徹
【演奏】
東京クラシカルシンガーズ
http://homepage3.nifty.com/ClassicalSingers/
オーケストラ・オン・ピリオド東京(オリジナル楽器使用)
http://www31.ocn.ne.jp/~nhajime/opt/

【日時】2009年5月17日(日)14:00開演(13:30開場)
【会場】浜離宮朝日ホール
http://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/
全席自由:前売¥2000、当日¥2500

【お問い合わせ・チケット】
沢井事務所 TEL 042-394-9199
e-mail: ClassicalSingers@yahoo.co.jp

キートランペットは、19世紀初めに使われていたトランペットの一種で、いまのトランペットで言えばピストンのような役割を果たすキーがついている楽器で、半音階などが容易に吹けるというところに特徴があります。

ハイドンのトランペット協奏曲は、このキートランペットのために書かれたのではないかといわれているようです。

今回は、キートランペットのレプリカ楽器を使って演奏します。国内では非常に珍しい演奏です。他の楽器もすべて古楽器です。

私も出演します。もしよろしければお越しください。

| | コメント (8) | トラックバック (0)

2009/04/17

メンデルスゾーンマタイ

もう1週間経ってしまったが、先週の金曜日は「聖金曜日」。オペラシティでBCJのメンデルスゾーン マタイを聴く。

メンデルスゾーン版は、全体の長さはオリジナルの2/3で、アリアやコラールがかなり省略されてしまっている。ヨハネはたたみかけるような合唱の魅力、マタイはアリアとコラールの魅力と思っているのだが、そのアリアとコラールが削られてしまっているので、正直かなり物足りない。楽器が廃れてしまってオブリガート楽器がある程度変わるのはやむをえないとしても、演奏されないというのは。。。

演奏自体は決して悪くないし、まぎれもなくBCJのマタイではあるが、何か損をした感じ。しかし、これも我々がマタイの全貌をよく知っているからで、メンデルスゾーン当時の人は1音たりとも知らなかったので、物足りなさを感じることはなかったのかもしれない。むしろ全曲を演奏したら「食べすぎ」になってしまったであろう。

演奏で寂しかったのは、やはり、通奏低音に鍵盤楽器が使われていないこと。チェロ自体はすばらしかったが、やはり鍵盤楽器がないと全然違う。自由度が格段に落ちるのだ。

それと、ロビンの声が聞けなかったのも残念。メンデルスゾーンの時代はもう男性アルトは存在しなかったのであろうか。

とにかく、勉強にはなったし、メンデルスゾーンの試みがなければ、今日我々はバッハに接することはできなかったという点で感謝はしている。しかし、原曲のすばらしさを改めて思い知り、原曲をじっくり聴きたいというのもまた多くの聴衆の偽らざる気持ちだろう。

来年は是非オリジナルマタイを演奏してほしい。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2009/03/19

鈴木雅明のメンデルスゾーン

今日は、オペラシティに東京シティフィルのコンサートを聴きに行く。これが2回目。普段なら絶対にいくことはないのですが、何せ指揮者があの鈴木雅明さん。曲目が、ヘンデル、ハイドン、メンデルスゾーンというのですから、半分怖いもの見たさ的なところもあって、当日券で。なんと、3階正面1列目という「特等席」が空いている。ここはBCJ以外はA席なのですが、音の良さと眺めのよさは定評があります。客の入りは残念ながらあまり芳しくなかったようです。いつものBCJではもっと入っていますが、BCJみたいなのが普通と思わない方がいいのかもしれません。

それはともかく、演奏ですが、正直、「古楽専門」といわれている人に、いきなりここまでやられてしまうと、普通の指揮者の立場がない、というほど、本職のオケ指揮者顔負け。しかも、コバケンに匹敵するような熱い動きをしていました。いつもにも増してハイテンションだったようにも思えます。そんな指揮者の思いが通じたのか、オケもかなり熱い演奏をしていました。それと、こんなことをいうのもなんですが、Vnの後ろのほうの人まで、全員がコンマスにあわせてかなりきちっと練習しているなという印象を受けました。新日本フィルに比べて小ぢんまりとしているというのもあるのかもしれませんが、何かとてもまとまっているような感じでした。ちなみに、このオケには、トランペット島田さんをはじめ、古楽系でも活躍している方が在籍されているようなので、ピリオド奏法的解釈も慣れているのでしょう。

ハイドンも決して悪くなかったですが、やはり強烈な印象を残したのがメンデルスゾーンの「イタリア交響曲」。鈴木雅明さんとメンデルスゾーンというのはなかなかつながらないのですが、いうまでもなく、メンデルスゾーンは、バッハのマタイ受難曲を復活させた、いわばバッハ再発見の立役者。そして、昨年BCJでもメンデルスゾーンの宗教曲やバッハのカンタータをメンデルスゾーンが編曲したものなどを取り上げていますし、今年の受難節はメンデルスゾーン編曲版マタイ受難曲を指揮します。そういう点では、全くなじみがないわけではない。むしろ、バッハを通じて深くつながっているといってもいいでしょう。

今まで何度もこの曲を生演奏で聞いてきましたが、今まで聞いたことがないような演奏でした。さわやかな印象がありますが、それとは少々異質で、結構細かいところで色々工夫がある曲なんだと感じました。目からうろこという感じです。

ひょっとしたら、バッハカンタータシリーズが終わる頃には、普通のモダンオケをバリバリ振っているなんていうことになりはしないか、逆に心配になってしまいました。

でも、とてもいい演奏会でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/03/13

インマゼールの「The Seven Last Words」

今日は、フォルテピアノのインマゼールのハイドンプロを聞く。前半はピアノソナタ。そして後半は「7words」のピアノ編曲版という珍しくも魅力的なプログラム。

ピアノソナタもよかったが、やはり圧巻は「7Words」なので、そちらのことを書こうかと。

このピアノ編曲版は、ハイドン自身によるものではなく、ハイドン承認のもとで別の人がやったらしい。もともとはオーケストラ版、ついで弦楽四重奏版、そしてオラトリオ版への編曲がハイドン自身によって行われているが、恐らくピアノ版はこのいずれよりも制約が大きく、出せる音の数も限られている。しかし、それだけに想像力をかきたてることはできる。ピアノが弾く音の多くはオーケストラの音であり、合唱パートの多くは「暗示」になってしまい、和声の中から聞き取るしかない。また、合唱が入るところとオケだけが合いの手をやっているようなところを聞き分ける。一方、ソロ歌手パートはちゃんと弾いている。

そして、元々歌はついていないにもかかわらず、極めて声楽的でミサによくでてくるようなメロディーが聞こえてくる。まるで、ミサの中から遅い楽章だけ引っ張ってきたような感じ。Kyrieからはじまり、Qui tollis、Crutifux、Benedeictus、Agnus Deiだけを並べたような。実際に、これらの歌詞をつけても十分歌えそうである。実際にはドイツ語版の「7Words」が歌われるのであるが。ちょうど、バッハのマタイ受難曲やヨハネ受難曲の歌詞とも一部共通である。そういえば、バッハのドイツ語カンタータがラテン語ミサ(小ミサ)に編曲された例もある。ロンドンシンフォニーの中でも「Agnus Dei」を歌えそうな曲があるくらいだから、「7Words」にミサの歌詞をつけて歌ってもおかしくないと思う。しかも、意味合い的にも何となく対応するような気がする。

などということを考えながら聞くとおもしろい。「空耳アワー」の世界なのかもしれないが、実際にハイドンのミサを何曲か演奏していると、似たようなメロディーやオケの音型がたくさんでてくるので、ついついそう感じてしまうのである。

逆に、こうやってオケの部分だけ取り出して聞いて見ると、いつも冷や汗かきながら大変な思いをして弾いているオケのパートもそれなりに意味があるんだなと感じる。

そんなどうでもいいことはともかく、インマゼールの手にかかり、この曲の実に深い世界を垣間見ることができたような気がする。どっぷりと引き込まれてしまった。ピアノだけなのに、まるで合唱つきフルオケを聞いているよう。すばらしかった。感動した。

そして、この日使われたフォルテピアノは、かつて故小島芳子さんが弾いていたもの。やはり名手にかかると楽器の鳴りが違う。楽器も小島さんも喜んでいるだろう。コンサートの最後にインマゼールが、楽器を優しくなでてねぎらっていたのが印象的。小島さんのご両親も感激。そういえば、小島さんもハイドンは得意としており、DENONだけでなく他にもハイドンのソナタを入れている。インマゼールとはタイプは違うが、もしご存命であれば、きっと歯切れよく優しい演奏を聞かせてくれただろう。フォルテピアノの演奏会は、私にとっては、演奏そのものを楽しむと共に、小島さんを思い出す場でもある。

当日予約だったが、一番好きな席が取れたし、演奏はすばらしかったし、曲は最高に面白かったし、久々に余韻に浸って家路についた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧