2006/01/22

古本屋で見つけた古楽本

AHは最近よく近所(荻窪近辺)の古本屋に行って、ちょっと珍しい古楽関連本をあさるのを楽しみにしています。今日も雪の中、駅前の古本屋をのぞいてみると、今までお目にかかったことのない本に出会いました。佐藤望さんという方が書かれた「ドイツ・バロック器楽論-1650~1750年頃のドイツ音楽理論における器楽のタイポロジー-」(慶應義塾大学出版会)というものです。タイトルからして気を引くものがあるのですが、中を開いてみると驚きの内容が。序論のあとに「声楽」と「器楽」という、いきなり重くて本質的なテーマが登場します。あまりに内容がマニアックでありながら本質的なところを、当時の文献を引用しながら分析し、この時代の器楽とはいったい何なのか、それを取り巻く宗教や文化などとの関係も明らかにしながら解き明かしていくといったたぐいの本です。佐藤氏の芸大大学院での博士論文のようです。12月に発売になったばかりですが、なるほどそういうものですから、なかなか音楽専門店でもお目にかからないわけです。思わず買ってしまったのですが、それを定価6000円のところを4400円で入手できました。お財布にやさしいのはありがたい限りですが、何せ入手しにくい本が発売後まもなく入手できるわけですから、ラッキーとしか言いようがありません。

そういえば、数ヶ月前には、西荻窪の駅前にある古本屋でこれまた同じような感じで古楽本を入手しました。「チャールズ・ジェネンズ メサイア台本作家の知られざる功績」(聖公会出版)という本で、これは定価2800円がたったの500円です。本の半分は、ヘンデルのメサイア、サウル、ベルシャザールの3つのオラトリオの対訳です。

他にもレア本ではありませんが、ちょっと古くて手に入れにくいまたは値段がかなり高めという古楽本を定価よりかなり安い値段で手に入れました。

何でこのあたりの普通の古本屋にこんな古楽本があるのか・・・。しかも出たばかりの本が。その秘密は、このあたりに古楽関係者が少なからず住んでいる(そもそも日本で最初にバッハに関する書籍が書かれたのもこのあたりで、大正4年のことです(大田黒元雄著 「バッハよりシェーンベルヒ」))ことと関係があるように思われます。というのも、こういう本には、時々「謹呈」とか「献本」という札が挟まっていたりするからです。つまり、著者なり出版社なりが著名な方に献本したものが売られているのではないかということです。著名な方であればそういう献本がとても多いでしょうから、一度読んだら古本屋に売らないと、家中が謹呈された本ばかりになってしまうのでしょう。また、古楽好きのお金持ちが亡くなったりすると、そこから大量の本が売りに出されます。特に昭和初期以前の本などは恐らくそうでしょう。歴史的仮名遣いでかかれていてとても読みにくいのですが、今では絶対に手に入らないものとなると、そんなことも言っていられません。AHが過去に買った超古本で、これは貴重だと思うのが、フックスの「古典対位法」という昭和25年に発売されたものです。古楽ファンならご存知でしょうけど、このフックスの古典対位法という本は、17世紀から18世紀にかけての対位法の最も優れた教科書といわれ、大作曲家たちが必ず勉強したという類のものですが、なぜか、新しい訳が登場せず、今の人がこれを日本語で読むことはできません。

そんなことですが、古楽を聴いたり演奏したりだけではなくて、より深く理解したい、研究したいという方は、是非、中央線古本屋(おにきち)を歩いてみることをおすすめします。

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2004/05/08

「ゼロビートの再発見」復刻

鈴木兄弟絶賛 平島達司著「ゼロビートの再発見」復刻

 鈴木雅明さん、秀美さんがことあるごとに推薦している名著「ゼロビートの再発見」が(株)ショパンから復刻されました。また「技法篇」も発売になりました。

 帯には、鈴木雅明さんの推薦文がついています。

 内容は、主として調律法の話なのですが、鍵盤楽器奏者だけでなく弦楽器奏者にも役立つものです。その後、調律法について書いた本はずいぶん増えましたが、一番わかりやすくてシンプルだという印象を受けました。

 また、1983年ごろの鈴木兄弟のコンサートの記録なども、「古典調律」の記録として収録されています。鈴木秀美さんと小島芳子さんがドビュッシーやラベルのコンサートをキルンベルガーの調律法で演奏したとか、そういう「歴史的」情報が入っています。恐らくさほど刷っていないと思いますが、興味のある方はお早めに。

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