ロ短調ミサ曲(2)
ロ短調ミサ曲とは何か、端的に言えば、「祈り」。賛美、信仰告白を含む祈り。
Kyrie,Gloriaは実際の演奏の機会を想定していたという説があるものの、全体としては特定の機会を想定していないように思える。それだけに、より純粋な祈り。
そこからすべてが始まる。
カトリックかプロテスタントかとか、ドイツ語かラテン語かとか、大ミサか小ミサ
か、とかいうことを超えて、祈りである。
私はたくさんのミサ曲を演奏してきたが、どうして同じ歌詞でこんなにも多様な曲
ができるんだろうと不思議になる。
バッハにしてもKyrie,Gloriaだけならかなりバラエティに富んでいるし。
それだけ人生色々な場での色々な祈りがあるということなのか。それだけさまざまな思
いで人々が祈っているということなのか。
教会ではこういうことを言われる。
「苦しい時、つらい時、悲しい時ほど教会に来て、そして一緒に神に祈ってください。
神はいつでもあなたのそばにいてくださいます。」
ロ短調ミサ曲の冒頭の3回のKyrieは、そういう苦しい時、つらい時、悲しい時、絶
望した時の心からの祈り、叫びのように私には思える。
Kyrie eleison(主よあわれみたまえ!)は、どんな時でも、神を信頼し、神にあわれみを求める気持ち。そしてマタイ受難曲のErbarme dich(「あわれみたまえ!神よ」ペテロの否認の場面のVn付のアリア)とそのあとのコラールを思い出す。
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