ヨハネに悩める5~第1曲(3)メリスマ
今日は眠いので、一つだけ。
「Herrscher」と「Verherrlicht」の二つの単語のいずれにも、「herr」というのが含まれていて、バッハはこの部分をメリスマで書いています。しかも、Vnとユニゾンになっています。だから、3回の「Herr」以外でも、常に「herr」が聞こえるような印象を受けます。しかも、多くの場合、音がどんどん上がっていくのです。つまり、歌いながら徐々に盛り上がっていく感じです。一方、もう一つ、メリスマが付されている言葉が「Landen」。「地」ですが、これは音が徐々に下がっていきます。「地に平和」などという言葉にはだいたい低い音が付されますが、その流れでしょうか。
ということで、「herr」のメリスマで気持ちが盛り上がっていく、力がみなぎってくる、もしくは信仰心がより強まっていく効果があるのではないかと思う次第です。
このことと、Vn,Vlaの音型が何をあらわすか、ということをどう結び付けるか。「herr」という言葉と聖霊という関係でとらえればよいのか。聖霊が「herr」という言葉を人々から導き出している、などという説明はもっともらしいですが、果たしてそうなのでしょうか???このメリスマが疑問を解決する何らかのカギを握っているように思えても、残念ながら答えは見つかりません。それにこだわるより、上向音型はクレッシェンド、下降音型はデクレッシェンド、という当時の演奏習慣に沿って演奏すれば、それなりの効果は出てしまうので、それでもいいか、と割り切ることも必要かもしれません。
ちなみに、「Niedrigkeit」は「低い」という意味ですが、音が低くなっています。こういう表現は、言葉の意味をより強く印象付けるのに役立ちそうです。(つづく)
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