ブリュッヘンのロ短調ミサ(2)
正直言って、感想を書くべきか迷ってしまう。という感じの演奏でした。
また、この演奏は、ブリュッヘンの意図をどの程度反映しているのかということに関しても、安易に結論を出すべきではない様な気がします。果たして、この演奏をもって、ブリュッヘンのバッハを評価してよいものなのか。オケしかり、合唱しかり。
表面的なことでの疑問は、なぜ、Ossanaで二重合唱の配置に変えず、そのままだったのか。
確かに、数年前と比べれば、いわゆる「ピリオド奏法」のレベルは、弦楽器を中心に格段に上がった。なんとなく古楽器っぽくて、ノンヴィブラートで・・・。でも、個々の演奏家の意思、意図が耳からも目からもいまいち伝わってこない。もっと言えば、普段古楽器オケに参加しているようなおなじみの人たちすら、いつもに比べるのびのび感と言おうか、いまいち覇気が感じられない。アグレッシブさが見られない。何か、殻に閉じこもってしまったような、鎖でつながれてしまっているような・・・。なにかもっと雄弁に語ってほしいといおうか・・・。オーボエの庄司さんはあの中では明らかに雄弁に語っていましたが、それと比較すると、言わんとしていることが何となくわかってもらえるかもしれません。
それと、モダン楽器のくすんだ音は、複雑な対位法の細かい音には不向きではないか。倍音が少ないために、各声部の動きが聞き取れないのです。フルートは、音が飛んできません。トランペットもしかり。ピッコロトランペットというのを使っていて、高い音は出るのですが、バロックトランペットのような輝かしい響きというのはない。しかも、終始下向いて吹いているし。神の楽器、王の楽器なのですから、ファンファーレを吹くように吹いてほしかったです。
合唱については、論評を控えます。がんばりは大いに認めますが。
ということで、あまり肯定的な感想ではないので、このあたりでやめておきます。
18世紀オケによる新録音CDを聞いてから、また振り返ってみようと思います。
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