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2010/10/28

Harnoncourtのロ短調ミサ

26日は、サントリーホールでHarnoncourtのロ短調ミサ。

思えば、35年位前にFMでカンタータ大全集のヴィオロンチェロピッコロ特集を聞いて以来、Harnoncourtのバッハの録音はすべて買って聞いて育ったようなものだから(無伴奏チェロ組曲も含めて)、この日の演奏に臨むに当たっては、特別の思いがあった。初めて聞く生バッハが最後になるなんて。。。

いま、1968年の最初の録音を聞きながら書いている。もちろんLPだ。3枚組だ。正直、このころとはまったく別の団体のようにすら感じるほどメンバーもサウンドも音楽も変わってしまった。往年の響きを残すのは、オーボエの一部、ファゴットの一部、チェロの一部、フルートもひょっとしたら(良くも悪くも)その中には入れるかもしれない。そしてなんといっても1st Vnのトップサイドだ。大人数の中からかすかに聞こえる懐かしい響きを捜し求めてしまった。Vnのトップサイドはそこだけまったく違う時間・空間だったように思える。いわゆるモザイク世代とは完全に一線を画している。ボウイングを見ても弓の使い方、出てくる音楽の質がまるで違う。そう。Alice Harnoncourt!

世の中のHarnoncourtのイメージは、1970年代後半のVivaldi「四季」やHandel「水上の音楽」以降、特にモザイク世代が加入したあとの過激で鋭角的な解釈、演奏かもしれない。でも、それ以前は実に典雅であった。そして少なくとも、コンマスが替わるまでは、過激な面はあっても典雅さ、品のよさは決して失わなかった・・・。しかし、モザイク世代に世代交代して、かなり変質してしまったように思える。楽器も、それまではドイツ系の楽器が多かったように思えるが、イタリア系が主流になった。そして編成も大規模になった。カンタータ大全集が終わると、録音でも古い時代の響きはもはや聞けなくなった。

86年発売の再録音はすでに新しい世代による演奏であった。バッハに関して言えば、新世代の夜明けである。コンマスも替わっていた。それでも創設メンバーはかなり残っていた。この時代のイメージがHarnoncourtの一般的なイメージのように思える。この演奏の参加者のうち11名が今回の来日メンバーである。チェロのR.Leopoldは、この録音には参加していないが、この時代を代表するチェリストである。

今回の演奏は、80年代以来のモザイク世代の音楽を踏襲しつつも、何か、原点に戻りつつあるような気がした。そして、バッハの晩年の心境に近づいているのではないかと思わせる節もある。そういう意味で、妻でもあるAlice Harnoncourtが最も夫の意を正しく汲み取って演奏していたのではないか(と思いたい)。

今、改めて最初の録音を聞いてみると、解釈は今回のほうがはるかに深い。円熟している。感動という意味では、今回の演奏のほうがはるかに感動する。しかし、すべてはここから始まったのである。この最初の録音には、歴史的な録音という以外に、今でも十分通用する価値がある。

もう、Harnoncourtのバッハを生で聞くことはない。できれば1980年の来日公演を聴いてみたかったが、FMで聴けただけでもましとあきらめるしかない。もう人生悔いはないといってもいいほどである。本当に聞けてよかった。ありがとうございました!

感想というより、過去の思い出に感傷に浸ってしまった・・・。

次は天地創造!

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