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2009/12/30

アーノンクールのカンタータ再録音

アーノンクールのカンタータといえば、レオンハルトと共同で制作したあのTELDECのカンタータ大全集があまりにも有名ですが、最近になって、カンタータの新録音CDが発売されました。140番、61番、そして29番。そして、輸入盤にはなんと30年以上前の旧録音も収録。これは実に驚くべきこと。単なるおまけでもなく、最近の進歩や変化を見せつけるわけではない。旧録音にも新録音と同等の価値を見出しているというように思えるのです。

最近の研究や楽器の製造によって旧盤のやり方が改められた部分もあります。61番のピッチがワイマールのピッチと思われるものに変わっていたりしています。

140番は1980年代半ばの録音なのでそうでもないですが、29番や61番は1970年代半ばということで、さすがに古さを感じます。特に金管楽器の技術はこの間に飛躍的な進歩を遂げているといってもよいでしょう。

また、少年合唱ではなくアーノルド・シェーンベルク合唱団という大人の合唱団やプロの大人のソプラノ歌手を使うといったところも、1980年代後半以降のアーノンクールの傾向です。

テンポは全体に速くなっていますが、解釈の問題なのか、楽器奏者の技量が向上して速くできるようになったのかはわかりません。金管楽器についてはそういう面があるかもしれません。29番の第2曲(ロ短調ミサ曲の最終曲等に転用されたもの)のテンポがずいぶん速くなっているのには少々戸惑いました。

一方で、旧盤に捨てがたい魅力を感じる部分も少なからずあります。少年合唱やボーイソプラノの歌は、上手い下手を超越して心にしみいるものがあります。カウンターテナーのエスウッドやテノールのエクヴィルツに関していえば、さすがスペシャリストということで、これは明らかに新盤をも上回ると個人的には思います。そしてなんといっても、Vnソロ。現在はへーバルトですが、当時はアリス・アーノンクール。これは断然旧盤が好み。弦も最近のは人数が増えたせいかやや粗さが感じられますが、旧盤は見事です。通奏低音チェロについては、新盤でも「大全集」の後半をになっていた二人が登場ということで、一応聞きなれたサウンドではあるのですが、61番、29番については、旧盤はアーノンクール自身が弾いているということで、賛否はあるにせよ、捨てがたい魅力があります。うれしいのは、新旧共にオルガンがタヘツィであること。旧盤の冴えを30年以上たっても失わずに聞かせてくれたこと。

カンタータ大全集で育った世代ということで、どうしても旧盤ひいきになってしまうのかもしれませんし、単なる郷愁ともいえなくもないのかもしれませんが、30年前にしてすでにここまでできていたということには驚きを感じずにはいられません。

技量も含め、BCJのシリーズの様な優れたものが出てきていますが、それも、このカンタータ大全集の成果があったればこそ。あらためてこの全集をじっくり聞きなおすときが来ているのかもしれません。そういう意味でも、新旧録音が一緒になったということは、とても喜ばしいことだと思いました。

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