メンデルスゾーンマタイ
もう1週間経ってしまったが、先週の金曜日は「聖金曜日」。オペラシティでBCJのメンデルスゾーン マタイを聴く。
メンデルスゾーン版は、全体の長さはオリジナルの2/3で、アリアやコラールがかなり省略されてしまっている。ヨハネはたたみかけるような合唱の魅力、マタイはアリアとコラールの魅力と思っているのだが、そのアリアとコラールが削られてしまっているので、正直かなり物足りない。楽器が廃れてしまってオブリガート楽器がある程度変わるのはやむをえないとしても、演奏されないというのは。。。
演奏自体は決して悪くないし、まぎれもなくBCJのマタイではあるが、何か損をした感じ。しかし、これも我々がマタイの全貌をよく知っているからで、メンデルスゾーン当時の人は1音たりとも知らなかったので、物足りなさを感じることはなかったのかもしれない。むしろ全曲を演奏したら「食べすぎ」になってしまったであろう。
演奏で寂しかったのは、やはり、通奏低音に鍵盤楽器が使われていないこと。チェロ自体はすばらしかったが、やはり鍵盤楽器がないと全然違う。自由度が格段に落ちるのだ。
それと、ロビンの声が聞けなかったのも残念。メンデルスゾーンの時代はもう男性アルトは存在しなかったのであろうか。
とにかく、勉強にはなったし、メンデルスゾーンの試みがなければ、今日我々はバッハに接することはできなかったという点で感謝はしている。しかし、原曲のすばらしさを改めて思い知り、原曲をじっくり聴きたいというのもまた多くの聴衆の偽らざる気持ちだろう。
来年は是非オリジナルマタイを演奏してほしい。
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