« 高田あずみとアマチュア、ピリオド奏法への挑戦(5)~典型的ピリオド奏法との違い | トップページ | 高田あずみとアマチュア、ピリオド奏法への挑戦(7)~挑戦はまだまだ続く »

2008/09/05

高田あずみとアマチュア、ピリオド奏法への挑戦(6)~パリッと小さく手抜きする

「音は小さくてもパリッとした音で」「全部の音を一生懸命しゃかりきになって弾かなくても」「テキトーに弾けば」・・・。

実は、アマチュアにとって最も難しかったのがこの手の注文。

コンチェルトのソロの部分などは、リピエノの人数も多いしついつい音が大きくなってしまうので、ソロが聞こえなくなる。そこで小さく弾くようにいうと今度はスカスカモワモワで何弾いているのかわからなくなってしまう。それを恐れて小さな音で弾けない。しっかり弾かなければはっきりと聞こえないという固定観念と何を弾いているか聞こえるようにパリッとした音で弾くというのは、正直なかなか結びつかない。結局あきらめて人数を減らしたところもありますが、やはりこういうときには音の立ち上がりがよくて小さな音が出しやすい古楽器は便利です。でも、古楽器であれば自動的に出るかといえばそうでもない。それはそれなりに小さく弾くためには意識して弾かなければならない。そのやり方をモダンにも持ち込めばよいということにもなるのですが、言うは易しで、これがなかなかできない。

それと早い楽章の16分音符が続く部分で、ついつい全部の音をシャカリキになって弾いてしまい、アーティキュレーションが全くわからなくなってしまうまたはうるさいばかりでガシャガシャして何がなんだかわからなくなる。一生懸命まじめに弾けば弾くほどそうなってしまう。「もっと軽く」といわれ、そうすると今度は音の粒がはっきりしなくなるし、弾くだけで大変なので、力を抜くのもいわば自殺行為のようなもの。でも、手抜き、音抜きが求められる。「最初の音さえちゃんと弾けばあとはテキトーで」「裏拍の音は抜いてもいい」。すると全部の音が手抜きになる。う~ん、難しい。

それと、変なところにアクセントがついてしまうというのもずいぶん注意されていました。裏拍だとかフレーズの終りだとかが意味もなく強くなるのはご法度。これも余計なところに力が入っていて弓がコントロールできないということなのでしょうか。

こういうことは、普通の団体では教わりません。やはり古楽器奏者の指導の下でやっているからこそです。

こうやってしごかれて、最初はなかなかできなかったものの、毎週熱血指導されていると、やはり少しずつ身についてくるもので、最初に比べると音楽がずいぶんすっきり明晰になって、各声部の動きの面白さがわかるようになってきました。これこそ、古楽器オケの醍醐味であり、ピリオド奏法もそれに習ったところです。

さて、BCJ主力メンバーである高田あずみさんが指導するなら、今回の演奏もBCJのように、と思われるかもしれませんが、方法論は同じでも、音楽はBCJそのままというわけでは決してありません。BCJを真似したくても真似できないということだけでなく、目指している音楽も全く別です。当然といえば当然ですが。あずみ師匠の人間性、優しさ、あたたかさ、繊細さが細部にわたって音楽にもにじみ出ているんですね。

あと、10数時間で本番を迎えます。当日は自由席ですので、お早めにお越しくださいと主催者の方から案内されました。果たしてどんな白熱したそれでいて温かみのある演奏会になるか、楽しみです。

と、他人事のように言っていますが、実は私も取材をしているうちに、演奏に参加して一緒にあずみ師匠にしごかれる羽目になってしまいました。途中からは、「注意されていました」ではなく「注意されました」でした。モダン楽器ではありますが、弾いていてとても楽しいです。バロックVnならもっとこうできるだろうなと思う反面、モダンだからできる表現というのもあります。バロックボウを使おうとも思いましたが、楽器を鳴らしきることができ、より魅力的な音が出せるのはやはりモダンボウなので、大変なのはわかっていますがあえてそれを使うことにしました。

「楽器の制約」をネガティブに考えるのではなく、与えられた楽器の特徴をポジティブに考えて活かしながら、自分たちのやりたい音楽を目指すことの大事さ、楽しさを知りました。

「古楽器だったらこうできるのに、できないのが残念」「古楽器がないから仕方なしにモダン」というネガティブな発想ばかりでは、せっかく音楽をやっているのにつまらないし、もったいないです。

とはいえ、もちろん、「モダンのほうが優れているから積極的にモダンを使いたい」などということは断じてないのですが。たとえやむを得ずモダンを使うとしてもポジティブに考えた方がいい音楽ができるといえます。

赤い録音機での「反省」を踏まえ、少しでもご迷惑をおかけしないようにがんばりたいと思います(といいながら、反省するより師匠の音色にうっとりして終わってしまったことの方がはるかに多かった・・・)

明日はおいしいお酒が師匠と飲めますように!

|

« 高田あずみとアマチュア、ピリオド奏法への挑戦(5)~典型的ピリオド奏法との違い | トップページ | 高田あずみとアマチュア、ピリオド奏法への挑戦(7)~挑戦はまだまだ続く »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/32419/42390165

この記事へのトラックバック一覧です: 高田あずみとアマチュア、ピリオド奏法への挑戦(6)~パリッと小さく手抜きする:

« 高田あずみとアマチュア、ピリオド奏法への挑戦(5)~典型的ピリオド奏法との違い | トップページ | 高田あずみとアマチュア、ピリオド奏法への挑戦(7)~挑戦はまだまだ続く »