高田あずみとアマチュア、ピリオド奏法への挑戦(7)~挑戦はまだまだ続く
本番が何とか終わりました。ご来場の皆様、ありがとうございました。
個人的には必ずしも力を出し切れずに、残念な結果に終わりましたが、全体としては猛特訓の成果もあって、目指すところはわかるようになってきたような気がします。
本番は、かなりテンポが速めになったようです。聴衆が入って残響がやや吸収されたこともあるのでしょう。アマチュアらしく、気合が入るとそれがすぐに演奏に反映してしまい、崩れやすいということなのかもしれません。テンポ感というのは不思議なもので、そのときの状況によって早く感じられたり遅く感じられたりするものなのですね。弾いている最中はそんなに早いと思わなかったのが、打ち上げで録音を聞いた時にはものすごく早いと思い、翌朝二日酔いの中で聞くと「心地よい」テンポに感じる。いったい昨日のテンポはよかったのでしょうか?
今回の本番を通じて改めて感じたことは、やはり、実践第一ということ。古楽をやるアマチュアはどうしても知識偏重になりがち。理屈は色々言うけど、実践が伴わないので、いっていることと実際にできていることのギャップがあまりに大きい。だから、もっと実際に音を出して出来るまでやる、そういう練習が必要だということ。そして、音色、ボウイング技術を磨くこと。あとはメンタル面でしょうね。特に私の場合は。
あとは、ハーモニーという観点から音程を身につけること。これも、確かに理論的に「この和音の時はこの音がどうなって」みたいなことも必要なのでしょうけど、最終的には、耳で覚え、感じるしかない。チェンバロの副島恭子さんが、時々チェンバロで和音を弾いてみて、色々説明してくださるのはとても役に立ちました。
通奏低音といえば、間合い、息遣いの大事さも学びました。
そして小さな音で弾くことを恐れないこと。小さな音が出せるということは、それだけ表現の幅が広がるということ。楽譜には強弱記号がほとんどない場合も多いのですが、それでもいつもフォルテで弾いていればよいということではなく、それぞれの場面に応じて思い切りピアノにするということも、フォルテをより引き立てさせる意味でも重要。これは直前のリハーサルまで注意されました。
さて、あずみ師匠ですが、難しいところをいとも簡単に弾いてしまうようなところは、ある意味「当然」ということで驚かないのですが、そうではなくて、むしろ何気ない弾くだけなら簡単なところに驚かされたといおうか、すごい!とても真似できそうもない、という感覚になりました。これはノンヴィブラートでゆったりした曲の旋律を弾いた時に特に強く感じました。ヘンデルの合奏協奏曲の遅い楽章とかのカンタービレの歌いまわしや音色の変化。4分音符3つというだけでも全然違うのです。これは今回さすがに秘伝開陳というわけにはいかなかったのですが、ただノンヴィブラートで弾けばいいというのではなく、ボウイングでどう表現するかというところのお手本となるので、今度機会があれば是非ご伝授いただきたいところです。
アマチュアの練習回数はとても多いですが、やはりきちっと弾けるようになるためには、ある程度の練習回数と適切な指導が不可欠。指だけ回ってそれで即席で演奏みたいなノリは、アマチュアには許されないのかもしれません。やはり今回のような丁寧で地道な音楽作り、というのが大事なのではないかと思いました。
本番は終わりましたが、MBAの挑戦はまだ始まったばかり。学ばなければならないこと、身につけなければならないことは山ほどあります。しかし、山が高ければ高いほど挑戦する意欲もわいてこようというもの。しかも、すばらしい案内人もついている。がんばれば上れないこともない。
これからもきっと挑戦を続けてくれるでしょう。
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