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2008/08/27

高田あずみとアマチュア、ピリオド奏法への挑戦(2)~ピリオド奏法は「普通の弾き方」

あらかじめおことわりしておきますが、高田あずみさんから「ピリオド奏法」という言葉を聞いたことがありません。ほかの古楽器奏者からも同様です。意識して使わないのか、それとも特別な名前など必要ないようなあたりまえの「普通の」奏法という意識なのか。一方で、「巨匠弾き」という言葉は聞いたことがあります。一般に「普通の奏法」といわれる奏法が「巨匠弾き」で、いわゆる「ピリオド奏法」というのは、ことバッハをはじめとするバロックや古典派を演奏する場合には「普通の奏法」ということになるのでしょうか。

たとえば、「弦」といえば、裸のガット弦を指し、巻き線ガットやスチール弦は特殊なものということで、わざわざスチールとか巻き線というようなのも同じような感覚でしょうか。19世紀終わりまでは実際そうだったわけですし。

ということもあってかどうかはわかりませんが、MBAの人たちも「ピリオド奏法」という言葉は使っていないようです。むしろ、「普通に弾けばいいんだよ」といわれて、「普通に弾くのが難しいので、普通に弾けるように練習している」という言葉が返ってきます。つまり、いわゆるピリオド奏法というのは特別な弾き方ではなく普通の弾き方という意識のようです。彼ら、彼女らからすれば、むしろ、古い音楽を演奏する上では、巨匠弾きこそが特別な奏法といえましょう。一般の人は「普通の奏法」を知らずに巨匠弾きしか知らないので、それを普通と思い込まされているだけなのです。そうした意識を持つことからすべてがはじまるといっても過言ではありません。巨匠弾きの縛りから解き放たれるのです。均等均質がよしとされる世界から解放されるのです。そうやって真っ白な意識からスタートする。鈴木秀美さんがおっしゃったそうですが、「学校などで今まで習ってきたことと逆のことをやりなさい」。そのくらいのことを言わないと、巨匠弾きの縛りからは解放されない。

実際にMBAの人たちを見ても、巨匠弾きにこだわるのをやめ解き放たれた人は、上達、習得が早いですし、そうでない人はなかなかかわりません。

こういうことを前提に、これからのことを読み解いていただければと思います。

次回からはいよいよ、練習風景です。

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コメント

 大変興味深い報告ですね。

 先に、整理のために記しますが、古い音楽を演奏するためのアプローチには、以下の2つがあると小生は考えています。

a.現代の楽器(モダン楽器)を用いて、現代の奏法で演奏する。 時代考証はナシ。 例としては、イムジチ。
b.作曲当時の様式の楽器を用いて、作曲当時の奏法で演奏する。 古い音楽を、作曲当時のままで再現することは不可能であったとしても、それに近付くための努力を尽くす。
 この辺は、異論のないところでしょう。
 そして、ピリオド奏法というのは、aとbの折衷的なもの、または妥協の産物であると捉えています。
 この辺は、異論があるかも知れませんが。

 プロの演奏者(モダン)であれば、仕事だから、弾きたくない曲も弾かなければならないだろうし、古楽が流行っているとなれば、商業的にそれを取入れることも考えるだろうし、古楽の指揮者を招いたなら、その指示に従わなければならないだろう。
 しかし、楽器を、作曲当時の様式に変更はできない。時間的にも、経費的にも、そこまでの取組みはできない。そもそも、本人が、そこまでの情熱を持って取組んでいない(かもしれない)。演奏団体としての枠組みがあるから、それを超えるのも難しいだろう。

 これに対して、アマの演奏者はどうか?
 基本的に趣味で演奏している訳だから、弾きたくない曲は弾かなくてもよい。趣味の活動だから、情熱さえあれば、経費でも時間でも、いくらだってかけられる。作曲当時の様式の楽器を入手することだって不可能ではない。
 そういう人達が、ピリオド奏法に取組むというのは、どういうことなのか?
 多少の誠意がある人達は、弓と弦は当時の様式に替えているが、そこで満足してしまう(少なくともそのように見える。それ以上進もうとはしていない。)のは何故か?
 何を目標にしているのか?
 この点について、とても興味があります。

 例えば、小生が妥協の産物と考えているピリオド奏法自体に積極的な価値を見出して、それに取組むことを最終的な目標としているのか?
 または、作曲当時の様式での演奏を最終目標としつつ、途中経過(通過地点、活動の発展の過程)として、今回はピリオド奏法に取組むのか?
 または、単なる妥協の産物としてのピリオド奏法の取組みであるのか?
 または、それ以外なのか?

 この点についても、報告を期待しています。

投稿: チェロ中川 | 2008/08/31 09:26

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