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2008/05/25

コバケンのノンヴィブラート

今日は、サントリーホールに、小林研一郎(コバケン)指揮日本フィルのオール・ベートーヴェン・プログラム(ベト7、皇帝、エグモント)を聞きにいってきました。古楽一筋の私にとってはまさに「春の珍事」。果たしてアレルギー反応が出ないか、非常に心配。

しかし、そんな心配は杞憂に終わりました。

一昨年、アーノンクール、ウィーンフィルでベト7を聴いているせいもあって免疫があるのかもしれない。しかし、よく聞いて見るとそれだけではない。恐らく多くのコバケンファンは意識していないと思われますが、ヴィブラートをかなり抑えて、しかもボウイングも一昔のような巨匠弾きではない。木管楽器のハーモニーも、フルートやオーボエが朗々とヴィブラートを聞かせて歌うというよりは、アーティキュレーション重視。つまり、モダンオケとはいっても、いまや一昔前の演奏法とはまるで違っているということのよう。だからといって、いわゆるピリオド奏法でもない。あくまで従来の延長上で、ノンヴィブラートの表現も取り入れているという感じ。 むろん、コバケンの演奏を「ピリオド奏法」などと呼ぶ気は毛頭ありません。

もはやノンヴィブラートは「ピリオド奏法」の専売特許ではない。普通のスタイルの演奏家が普通に使いこなせる表現手段として定着しているといってもよいでしょう。逆にいえば、ノンヴィブラートを「ピリオド奏法」の特徴として挙げるのはもはや適当ではない。

とはいえ、古楽器オケに慣れているとやはりアーティキュレーションがさほどはっきりしていないことが気になってしまう。それと、皇帝の第3楽章などは明らかに舞曲系なのですが、どうも弾いている姿が舞曲を弾いているという雰囲気ではない。チラシには「舞踏のスパイラル」と書いてあるのだけど。ベト7の2楽章のメロディはさすがにアーノンクール/ウィーンフィルに軍配を上げざるを得ない。

しかし、演奏はとにかく熱い。熱いだけでなく、ノンヴィブラートや古楽器張りのピアニッシモをうまく使うことで、表現の幅もものすごく広くて、熱いところがよりいっそう熱く聞こえる。
この演奏を聴いて、古典派の演奏も明らかに変わってきているなと感じました。

よいものはどんどん取り入れて自分のものにする、そんなコバケンの柔軟な一面を感じました。

結構楽しめました。

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