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2008/01/06

遡って辿り着く「古典」に新鮮さはないのだ。

『遡って辿り着く「古典」に新鮮さはないのだ。』鈴木秀美

いきなり過激な発言で新年を明けてしまいました。

古楽ファンの皆様、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

さて、冒頭の言葉は、かの鈴木秀美さんが新年早々ハイドンの「太鼓連打」とベートーヴェンの「英雄」をモダンオケを使って演奏するに際して思いを寄せた言葉です。

http://www.toppanhall.com/jp/interview080111/suzuki.html

これは古典派だけでなく、バッハの音楽を演奏する場合にも当てはまるのではないかと思います。

「英雄」といえば、モダンオケの方々は恐らくそれこそ何度も演奏してきて、曲の隅々まで知り尽くしている。そしてまさに「古典」としてその後のすべて音楽の出発点、原点、基本、手本として、あるべき理想の姿を具現してきたのではないかと思います。

しかし、ちょっと待て。我々は現代音楽を聴いて驚きや戸惑いをおぼえる。では、当時、初めてこの音楽を聴いた人、そして演奏したオーケストラのメンバーは、英雄を聞いてどのように感じ、受け止めたのだろうか。バロック音楽に親しんでいた古い人達はもちろん、ハイドンやモーツァルトに慣れ親しんだウィーンの人々ですら、現代の我々が英雄を聞くときの印象とは全く違う印象持ったのではなかろうか。そう、それ以前の音楽また同時代の音楽とはあまりにかけ離れたよくいえば斬新、悪くいえばありえないような破戒的な音楽として飛び込んできたのではないだろうか。そんなことを感じてしまいます。

普段、せいぜいバッハ、どんなに新しくてもモーツァルトまでしか聞かない私のような古楽オタクにとって、ベートーヴェンの音楽というのはあまりに斬新。それ以前の音楽では絶対に出てこないような和声、展開。それでいて、その前の時代からの耳になじんだ伝統をしっかりと引き継いでいる。何が古くて何が新しいのか。何が同じで何が違うのか。

古楽といえば、古いタイプの楽器を使い、当時のピッチで当時の演奏習慣に基づいて演奏するというイメージがありますが、もしかしたら、その本質は「遡って辿り着く」のではなく、時代の流れに沿って辿り着くというポリシーなのでないか。鈴木秀美さんは、同じ文章の中で『一つ重要なのは、彼以前を知らなければその「新しさ」は解らないということである。(中略) 彼以降の音楽を知っている私達が、《エロイカ》の強烈な斬新さ、耳を引き裂く不協和音、そして大自然のさざめきを、当時と同様に感じ「再創造」するためには、「それ以降」を一度忘れる他はない。』と述べています。これこそ古楽演奏の精神。

しかし、長年受けて来た音楽教育や演奏経験の中で「それ以降」を中心にしてきた演奏家たちにとって、それはそんなに容易なことなのでしょうか?それは、これまでの価値観を大きく転換させるに等しいのです。それだけに大きな実験であり、新たな世界に辿り着くための大きなチャンスでもあります。

私は、昨年、大阪でその衝撃の場面に遭遇しました。そこにあったのは、我々の常識からあまりにかけ離れた驚きの「英雄」でした。それから数ヶ月。あの時のことをまっさらにして、また一から再創造する。今度は果たしてどんな衝撃、新鮮な驚きが待っているのでしょうか?そして、オーケストラのメンバーがそれをどう受けとめるのでしょうか?

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コメント

お久しぶりです!11日の初日に行きます。18世紀オケのマルテンさんがティンパニを叩くらしいので楽しみが増します。

投稿: ハリー | 2008/01/08 23:47

ハリーさん こちらこそ。

そう、マルテンさんが来るのです。しかも「太鼓連打」ですよ!私は12日に行きます。

でも、できればOLCでも聴きたいですね。

投稿: AH | 2008/01/10 21:03

ティンパニの名演は確実でしょうね(笑)では感想は12日以降に!私がOLCに行けば去年のホープリチとコッポラを聴き比べる事が出来るのでそれも楽しみです。

投稿: ハリー | 2008/01/10 23:53

それと、メンバーを見た限り、ラッパ、太鼓は古楽器使うのではと期待しています。感想はやはり12日解禁がいいですね。

2月のOLCはクラ協にジュピターですよね。これはすごいコンサートになりそうです。

投稿: AH | 2008/01/10 23:59

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