北とぴあ&荻窪音楽祭
いま、北区では北とぴあ国際音楽祭、杉並区では荻窪音楽祭が開催されています。
北とぴあ国際音楽祭といえば、古楽の世界では非常に有名で、寺神戸亮さんの「レ・ボレアード」が毎年オペラを上演したり、今年は韓国の音楽を取り上げたりと、割合とお金をかけてきちっとした企画をやり、しかも、街角出張コンサートということで、区内の学校や公民館などでもコンサートを開催している。
一方、荻窪音楽祭は、古楽とは一見無縁なように思えますが、実は小さなコンサートがいくつか行われています。
さて、両者の一番大きな違いは、北とぴあが官製音楽祭であるのに対し、荻窪音楽祭が行政とはほとんど無縁の地元の商店街による音楽祭ということでしょうか。北とぴあは北区の財団が主催し、荻窪は地元有志による実行委員会が主催で大部分は地元の民間の音楽関係の施設や喫茶店など。お隣阿佐ヶ谷のジャズストリートや高円寺阿波踊りと同じスタイルです。
荻窪には、杉並公会堂があります。最近、古楽の演奏会もかなり増えてきました。初めて使うというケースが多いので、果たして継続的に使われ続けるのかどうかはわかりませんが。しかし、杉並公会堂がメイン会場というわけではありません。むしろ、民間の自主企画の中に個性的なものがあります。そして、プロのものもアマチュアのものも主催者の考え方次第で様々なものになります。実は、こうした中に古楽好きのアマチュアが参加している。古楽好きの店主がいる小さなライブハウスなど。
実は、北とぴあ国際音楽祭にも以前はアマチュアが「参加」していました。古楽系だけでなく、地元の合唱団なども参加していました。また、地元の方が参加できるバロックダンスの体験コーナーとかもありました。つまり、聴くだけでなく、自ら演奏する場でもあったのです。しかし、今ではオーディションのようなものがあって、アマチュアが参加する余地はないように思えます。アマチュアは聞くだけの音楽祭になってしまい、内心さびしい限り。
もちろん、聴く立場からすれば、よりレベルの高い演奏やお金をかけなければならないような演奏が聴けるのはとてもうれしい限りです。しかし、一方で、演奏する喜びを体験するというのもとても大事なことですし、自ら演奏する音楽愛好家が音楽界全体を支える大きな力になるという面も無きにしも非ずです。街ぐるみで音楽祭を支えるというのは、自治体が税金を投入すると言うことだけではなく、地元民が企画したり聴くだけでなく、演奏にも参加する、そしてそういう人たちが地元や外の人を呼ぶ。そういう好循環がうまくいった状態ではないか。
街の人々が自主企画して演奏に参加することができるような層の厚さがあるかどうか、ということは、音楽祭の時期だけでなく、普段からの活動が重要だと思います。阿佐ヶ谷ジャズストリートなどは、成功した例ではないかと思います。
もちろん、復活した北とぴあ国際音楽祭の企画はすばらしいと思いますし、私も毎年楽しみにしています。でも、参加する楽しみが失われてしまったのはさびしいです。ただ聴きに行くだけだと、普通の演奏会となんら変わらない。でも、自ら参加するといかにもお祭りに参加したという気になります。普通のお祭りでも、おみこしを担ぐのと単に見物するのとでは「参加」したという気持ちが全然違うはずですが、それと同じようなものです。
この二つの音楽祭のいいところを合体させたら理想的なものになるのにな・・・。
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