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2007/08/11

BCJカンタータ第36巻

鈴木雅明指揮BCJのバッハカンタータ第36巻の輸入盤をゲットしました。

今回は、BWV6,42,103,108です。2006年2月の録音。

この巻からヴィオロンチェロピッコロオブリガート付のアリア、コラールが続けて取り上げられていますが、そこで、鈴木秀美さんのチェロピッコロでなく、ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラが使われています。この楽器の利用については、理論的には(研究成果によれば)決して否定されるべきものではありませんが、鈴木秀美ファンからは、秀美さんに弾いてほしかった、という声も少なからず聞かれています。私も秀美さんの演奏で聞きたかった、という思いは正直あります。でも、自分で弾くなら間違いなくスパッラ。このあたりがVn弾きとしての自分と音楽ファンとしての自分の葛藤です。

オペラシティでの実演では、かなり広い会場で少々苦しいかなという気がしないでもなかったですが、松蔭まして録音ではそういうことは全く感じられません。ただ、このころは、最近の演奏に比べるとスパッラの楽器自体も演奏自体も発展途上という感は否めません。

この巻では第6番のコラールにスパッラが登場します。この曲は前にも書いたかもしれませんが、私が古楽器、そしてバッハのカンタータにはまるきっかけを作った記念すべき曲です。アーノンクールがヴィオロンチェロピッコロを弾いて、ウィーン少年合唱団員がコラールを歌う。その歌声の美しさと古楽器の音色の魅力にすっかりはまってしまいました。それだけに期待は大きかったです。CDでは野々下さんがすばらしいコラールを聞かせてくれています。満足度高いです。

さて、CDの冒頭を飾る42番のシンフォニア。これは私にとってバッハの器楽曲の中でも一番好きな部類に入りますし、自分でも演奏したことがあります。私がはじめてお小遣いで買ったLP(CDではなく!)は、アーノンクールのカンタータ大全集から抜粋したシンフォニア集だったのですが、その中に入っていて、それですっかりお気に入りになりました。それと比べるとずいぶんスマートで洗練された演奏だという感じがしました。あまり暇がないときでも、このシンフォニアだけは繰り返し聞いています。42番では2本のVnのオブリガート付アリアもお気に入りです。バスは少々軽めですが、Vnがなかなかいいです。

そして、103番にはリコーダーのダン・ラウリンが登場。これはうまい!冒頭合唱は、この巻の最大の聴き所といっても過言ではないでしょう。それとオーボエ・ダ・モーレの絡みがいいですね。第5曲のテノールアリアもなかなか好きです。

このCDの男声ソロ歌手メンバーは、ロビンを除いてはいずれも初登場。こういう全集でたまに歌手が代わると「あれっ?」と感じてしまう。Gilchristのレチタティーヴォは、それなりに味わいがある。ゲルト、ペーター(そして時々チェリー櫻田)のイメージが強すぎるのか。演奏の良し悪しではない。慣れといおうか安心感といおうか。彼らの存在の大きさを改めて感じてしまう。

ということで、一見地味な巻ではありますが、結構中身の濃いものに仕上がっています。繰り返し聴くと味が出てくる、そんな感じでしょうか。

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コメント

こんばんは、以前はカタカナ名でおじゃましてたかな?
私も36巻入手しました。良いと思います。
コンサートパンフレットも取り寄せてしまいました。
前、書き込まさせていただいた喫茶店A415は、結構要人が立ち寄っていたそうです。先日なくなられた高瀬礼文先生(早大フィル)、白井先生(芸大)、神西先生などなど。喫茶店マスターは、高瀬先生がなくなられえらく気落ちしてました。何と高瀬先生と鈴木雅明先生とは、オルガン仲間でかなり仲がよかったそうです。

投稿: あーのんくーれ | 2007/08/17 00:20

こんばんは

確かに以前はカタカナさんでしたね。

色々ありますね。世間は狭いといおうか。

投稿: AH | 2007/08/17 01:26

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