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2007/01/21

どこへいく?アンサンブル・ヴィンサント

アンサンブル・ヴィンサントのCD発売記念コンサートに行ってきました。

曲目は、ヘンデル、バッハの歌曲を含む有名作品ばかり集めたもの。パッヘルベルのカノンとジーグのまともな演奏、そしてテレマンの3Vn,3Ob協奏曲を生で始めて聞いたかもしれません。この2曲が特にお気に入りの演奏でした。テレマンは、アンコールでやった時が猛烈に楽しかったですね。

この日演奏された各曲のバージョンはオリジナルバージョンというのではなく、バッハやモーツァルトがアレンジした曲や、作曲家自身が他の曲に転用したそのバージョンを取り入れてみたり、と工夫していました。でも、コンサートのタイトルにことさらそういう研究的、実験的ともいえる意図を入れることもなく、難しいことは抜きにして気楽に楽しんでくださいという感じ。実際の演奏も比較的ライトなノリのものが多かったような気がします。藤崎美苗さんが歌ったヘンデルのオペラの有名曲も、普通大歌手が名曲を歌う時のような仰々しいものではなく、速めのテンポでさりげなくさわやかさを運んでくるような感じ。バージョンについては、正直、うまくいったというものもあれば、あまりにいろいろな人が色々やっていて聞いているうちになんだかよくわからなくなってしまったものもありました。

私自身、この団体の演奏を何度も聴いているわけではないですし、ずいぶんいろいろな方向に向かっていて(毎回違うともいえる)、この団体が何を目指しているのか(団体のコンセプト)は正直よくわかっていません。でも、なんとなく、新たな風を吹かせようとしているのはわかるような気がします。三宮さんのことですから、思いつきでなんとなく、ということではなく、しっかりとした考え方はあるのでしょう。少なくとも、鈴木兄弟、若松さん、高田さん、寺神戸さんなど1980年代から活躍しているBCJの主力メンバーの世代(私の世代)とは明らかに違うような気がしていますし、我々の世代が気づかないうちに、BCJなどとは違う彼ら自身の目指す音楽というのが形成されつつあったのだなという驚きはあります。一方で、私自身ももう時代遅れで過去の郷愁にひたる世代になってしまったのか、と思うと少々さびしくなります。

でも、そんな中でもコントラバスの西澤さんの存在は、我々の世代を元気にしてくれます。あのノリ、あのパワー、そして長年の経験がかもし出す余裕と時に見せる自由な遊び心、大人の音楽だな、心憎いな。。。まるでジャズベース奏者みたい。心から演奏を楽しんでいる。

そんな年寄りじみた思いはともかく、若い人にも注目。藤崎さんは、ソロを聞くたび、見るたびにどんどん素敵で美しくなっていく。華がある。ソリストの雰囲気をかもし出している。ここ一、二年で一気に花開いた感があります。そして、シャイな2nd Vnが今最も注目し、期待しているのが2nd Vn、時には3rd Vnを弾いていた川久保洋子さん。ここ1年の成長株で頭角を現してきた逸材。ボウイングには深み、粘りがありながら切れもあり、楽器を鳴らせる。派手に音が出てくる感じではありませんが、奥行きが深い音色を聞かせてくれます。表現力もあり、2nd Vnとしてとてもいい味を出していました。彼女がいると若いアンサンブルが引き締まりそうです。雰囲気的にも、表情がとても柔らかく、余裕が出てきた感じがします。これからも彼女の活躍に注目したいと思います。

それにしても三宮さん主催でオーボエが活躍するプログラムとはいえ、オーボエにはかなりしんどい曲目だったのでは。管組4番吹き終わったあとの尾崎さんの何ともいえない表情が印象に残りました。すべての力を出し切ったという感じ。

次回は4月のドレスデン特集。今度はどんな顔を見せてくれるでしょうか。

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