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2007/01/22

5.0chでBCJ

B&W805Sを買ってからというものの、BCJのSACDの楽器の位置がよくわからなくなってしまい、かつ、普通のCDとの差もわからずじまい。自分の耳がおかしいのではと不安を抱き続けてきて、どうしても心配なので、それでは5.0Multi-Chで聞いたらどうなのだろう、と思い、前から持っていたSACD Mulch-Ch対応のミニコンポに安いサラウンドスピーカーをつけて聞いて見ることにしました。なお、BCJのカンタータシリーズは、スパーウーハーを使わない5.0chです。そこで、スーパーウーハーを無効にしました。

BCJのカンタータは、もともとMulch-chで録音されており、雑誌などの録音評でもMulch-chでの再生を薦めている。しかし、ピュアオーディオでMulch-Ch対応しているものはほとんどなく、多くが映像機器としてのマルチメディアプレーヤー、AVアンプでの対応となってしまうので、いまいち手が伸びません。たまたまミニコンポがDVDかつSACD Mulch-Ch対応だったので、雰囲気を楽しむだけならいいかなと思って805Sの1/10位の値段でサラウンドスピーカーを買ってしまいました。

ミニコンポですから、音質は比べるまでもないのですが、1.5m四方という狭い空間に5つのスピーカーをおいてその中で聞いていますので、部屋の音響の影響を思ったほど受けずに聞けますし、定位も近い分だけはっきりします。

聞いたSACDは28,29,31~33巻、復活祭オラトリオの4枚。

まず、CD 2chとSACD 5.0chの比較ですが、本質的な音のよしあしと言う点ではほとんどわからず。ただ、サラウンドになっている分だけ、空間的な広がりはミニコンポでも十分に感じられます。SACDの2chと5.0chでも同じ印象でした。ただ、コンサートで言えば、ステージ上の奥行きがミニコンポの限界なのかやや平板的といおうか、前後関係がよくわからないところがあります。

また、驚いたのは、こんなに巻によって録音が違うのかということです。また、同じ巻の中での大編成同士でもずいぶん違います。全体が一まとまりみたいなあまり定位がはっきりしない代わりにバランスがいい録り方と、左右がはっきり分かれて、しかも、1st Vn,Trpといった左側と右側のObが際立って聞こえる録り方。また、合唱もまるでソプラノだけが1st Vnの前に出てきて歌っているように聞こえるところもあれば、本番同様後ろに並んでいるように聞こえることもある。アリアのオブリガートは、B&Wで聞こえたとおり、編成によって場所が変わっているようです。特に2つのオブリガート楽器の時は、それが左右に分かれるようにしているみたいですね。B&Wで動いてしまっているようでよくわからないという鈴木秀美さんの音は、これで聞くとさほど動いていませんでした。ただ、聞こえ方はずいぶん違いますが。困ったのは、トランペットとオーボエの音が似ていて、わからなくなってしまうこと。古楽器でなければ絶対ありえないことです。

面白かったのは、29巻トラック14。BWV3の第2曲。オケとコラールを歌う合唱が思い切り左によっていて、レチを歌うソロの上声2つが思い切り左に、下2声が思い切り右によっている。特に、最後の方を締めるバスはまるでコラールと対象は位置になっているよう。ところが、次の通奏低音付アリアでは、チェロがずっと右に寄りしかもだいぶ前に出てきており、バスが真ん中よりやや左(指揮者の左)。次のテノールレチになると、テノールは前に出てくるのでなく、合唱の前くらいのやや左側で歌い、チェロは先ほどよりやや奥に下がった感じ。次のオケオブリガート付デュエットでは、オケは通常の場所に戻る。ただ、オーボエがヴァイオリンとユニゾンのせいか、かなりVn寄りになっている。BWV38に進んで、第2曲、オーボエ属と通奏低音のアリア。ここではオーボエは左に、通奏低音は右に。トラック23の三重唱では、チェンバロが雅明さんが指揮しながら弾くあの位置に。ソロはその前に、左からソプラノ、バス、アルトの順番。本番であれば、ソプラノ、アルト、バスの順番でしょうね。それにしても、この三重唱、すばらしいアンサンブルです。

ここまで来ると、どうも確信犯(?)で本番とは違うことをやっているようです。しかも、単純な左右バランスなどということではなく、かなり音楽的な意味も考えながら大胆に配置を動かしている、またはミキシングの際にそう聞こえるようにしている。そして、ソプラノがコラール旋律を単独で出しているようなところは、かなり実際より強調しているのではないか。

2本のオブリガート楽器のアリアも、その時々で並べ方を変えているよう。指揮者の左右に配置して楽器同士の掛け合いを強調する場合もあれば、左側に2人並べて楽器の一体感を出し、むしろ歌との対比を楽しむ場合もある。楽器の性質にもよるでしょうし、一概にそうとは決められませんが、曲の構造なり楽器の性質によっては位置を変えているのは間違いなさそうです。誰がどうやって決めているのかはわかりませんが、録音担当者によってもかなり違うのでしょうか。

かつてアーノンクールがヘンデルの作品6でコンチェルティーノとリピエノを対向配置にしたりブランデンブルク協奏曲第4番第2楽章でリコーダーをバルコニーに上げてエコー効果を狙ったり、ということがありましたが、それに近いことが行われているのでしょうか。

となれば、SACDには本番とは違った楽しみ方があるということです!本番では決して実現できない、音楽的な構造、意味を明確にする仕掛けが組み込まれているということです!

もしかしたら私の思い過ごしかもしれませんが、もし図星であるなら、カンタータ全集終了後にでも「バッハからの贈り物」の続編の中ででも、「配置」の種明かしをしていただければ大変ありがたいです。

とりあえず、耳が老化でおかしいということはなさそう。それどころか楽しみが増えました。あとは、B&W805Sが2chでどこまで演奏家の意図を再現できるかですね。

よしよし、これでBCJカンタータシリーズを聞くのがますます楽しくなるぞ!

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