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2006/12/09

古楽のにおい、ベルギー王立美術館展

Rimg0809_1 今日、上野の国立西洋美術館に「ベルギー王立美術館展」を見に行ってきました。この美術館そのものは、2年程前にブリュッセルにいった時に実際に行きましたが、時間がないのとあまりにも広いのでいわゆるフランドル絵画のフロアだけ見て帰ってきました。その時は驚くべきことに中はガラガラ、貸切かというほどだったので、果たしてこの美術展にどのくらいの人が訪れるのか心配だったのですが、それは全く杞憂でした。今までの人気展覧会同じように平日だというのにとてもにぎわっていました。

http://event.yomiuri.co.jp/royal/

前半はフランドル絵画、後半は近代ベルギー絵画でした。個人的には、フランドル絵画の方がはるかに馴染みがあります。古楽器を演奏する姿などが映っていたり、古楽CDジャケットに使われていたりといったことと、ベルギーが古楽器演奏の中心地であるということもあります。今回展示されていた絵の中にも、リュートを弾く少女やヴァイオリンやガンバのアンサンブル風景などの絵もありました(音楽-夫婦の調和の寓意」、「奏楽の人々」)。あまり注目されていない絵ではありますが、私はくぎ付けです。

後半のベルギー絵画も嫌いではないですが、フランドル絵画と比べるとあまり馴染みがありません。そんな中でも注目は「芸術と自由」という絵です。これは、貧しい若者がヴァイオリンを弾いている1849年の絵なのですが、この楽器が実に精密にかかれていて、ニスの感じなどもよく出ている。f字孔を見た感じでは、イタリアというよりは、楽器のふくらみの大きい古いアマティタイプかドイツの楽器のように思えます。弦はもちろん裸のガット弦。今のような大きなあご当てはついていません。駒のデザインも今とは違う。弓も古いタイプのものです。この時代でもまだこんな楽器が使われていたのか。メンデルスゾーンが死去したばかり、シューマンは存命、ベートーヴェンやシューベルトが死去して20年くらいたっているのにです!ということは、メンデルスゾーンがマタイ受難曲を再演した時には、管楽器はともかく、弦楽器は古いタイプのものがまだ使われ続けていた可能性が高いということがわかります。そんなマニアックな見方をしてきました。

さて、普段は音声ガイドを使うことはまずないのですが、今回はあのフリーアナウンサーで古楽好きでも有名な朝岡聡さんがガイドを担当ということで、借りることにしました。いきなり、リコーダーやガンバのアンサンブルで始まり、あとはバッハの曲などをちりばめていました。もちろん古楽器です。古楽ファンであれば当然ベルギーにもその文化にも興味しんしんですから、ナレーションも原稿を読んでいるというよりは、完全に自分の言葉で解説しているという感じです。残念ながら、音楽-夫婦の調和の寓意」、「奏楽の人々」にはガイドがついていなかったのですが、これをやったら美術館のガイドというよりはほとんど楽器解説になってしまいますね。さすがにそこまでは・・・ということだったのでしょうか。しかし、「芸術と自由」では、シギスが弾くバッハの無伴奏ヴァイオリンをあてがってくれました。この絵(楽器)を見たら、やはりこの曲、この演奏を選びたくなってしまいますね。さて、最後の方に「コラム:ベルギーの音楽」というのがありましたが、これは、完全に古楽器の宣伝です。フランドルタイプのチェンバロ(フレミッシュ)の話からはじまって、現代のクイケン兄弟の紹介、バックの演奏もACCENTの恐らくバルトの演奏。いや~、全開です!その他にもベルギーチョコとかベルギービール(これは古楽器奏者にとってはなくてはならないもの)とか、絵画以外の文化全体のことにも触れていました。

Rimg0853 会場でも、ベルギービールのグラスが売っていましたので、2種類ほど買ってきました。

ということで、ガイドだけ何度も聞き返してしまいました。普通の人が聞いてもとても楽しくわかりやすいと思いますが、古楽ファンにはたまらないガイドです。

http://event.yomiuri.co.jp/royal/guide.htm

実は、この美術展の企画をやっている人も古楽マニアなんですね。だから、必然的に古楽ファンにとってはたまらない。古楽マニアの心をくすぐるのです。

いよいよ東京は10日で終了です。まだ見に行かれていない古楽ファンの方は、是非、行って、朝岡さんのガイドを聞いてみてください(もちろん絵画も)。絶対オススメです!

Rimg0808_1  会場の前で、イルミネーションやっていました。

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