カメラータ・ムジカーレ
今日は、カメラータ・ムジカーレという、現存する我が国最古の古楽器アンサンブルの1つのコンサートを聴いてきました。何せ、設立が1974年ですから、今日の日本古楽界の大御所たちも学生のころ。または海外に留学中か帰ってきたばかり。アンサンブル相手もおらず、するとこのアンサンブルにゲストで参加していた、というそういう由緒ある団体です。ここで育ってプロになった、または古楽界で有名になった人は少なからずいます。ですから、一般の古楽ファンには知られていませんが、古楽界を支えている人たちにはかなり有名な団体です。アマチュア古楽界におけるConcentus Musicus Wienのようなものです。それから数えて30年以上。今日が46回目の演奏会というのですから驚きです。
実は、この団体、AHにとっても人生を変えるきっかけになった団体です。というのも、もともとが私の大学の先輩方が作った団体で、OB会のときなどに彼らにお会いして、アマチュアでも古楽器で演奏できるんだということがわかって、それで20歳の時にバロックヴァイオリンに転向したのですから、恩人のようなものです。
ところが、なぜか、演奏面ではこの団体にご縁がありませんでした。今のメンバーは半分以上が私の普段の演奏仲間たちなのですが、参加する機会がありませんでした。私も何度かは聴きに行っているのですが、きっとアピールが足りなかったのでしょうね。
そんなこともあって、今日は事前に予告して、そしてメンバーたちにもご挨拶してきました。
それはともかく、演奏を聴いて、本当に興奮して、うれしくなりました。昔懐かしいあたたかい響きがしました。60年代、70年代、私がLPで聴いて夢中になった古楽器の響きです(Das Alte WerkやDHM、SEONなど)。80年代以降、世界的に古楽界がガラッと変わってしまい、うまくはなったけどあたたかみに欠ける演奏が増えてしまったような気がします。また、レパートリーも古典派に移ってしまって寂しい思いをしています。そんな中で、往年のあたたかみのある響きを残してくれているこの団体の存在は貴重です。そして、取り上げるレパートリーも60年代から70年代前半にDas Alte Werkで取り上げられたような楽しいレパートリー。この日はテレマンとラモー。多くの管楽器と弦楽器のにぎやかな協奏曲などは、60年代終わりにブリュッヘンやアーノンクールの録音で大いに楽しませてもらったのですが、それを髣髴とさせる演奏。ラモーのコンセールは、70年代初めにブリュッヘン、クイケン兄弟、レオンハルトでの名盤を思い出させる演奏。テクニック的には、アリス・アーノンクールやマリー・レオンハルトのような感じなのがいいのかもしれません。最近のオランダ、ベルギーの影響を受けた私の弾き方とはちょっと違うのですが、音色、音楽は大好きなのです!そして、何といっても、皆さん自分を思い切り表現しながら音楽を心から楽しんでいらっしゃるのです。こんな先輩を持って私はなんて恵まれているのだろう、と誇りに思えました。
知らず知らずのうちに70年代以前の古楽を求めている自分に気付きました。原点に帰れ!という感じです。
是非この団体で弾いてみたい。そして、若かりしあの頃の情熱を再び取り戻したい。そんな思いを強くした演奏会でした。
5日には横浜でも同じ演奏会があるそうです。お近くの方は是非お聞きになられてください。
カメラータ・ムジカーレ
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