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2006/11/15

新星 高橋未希、鮮烈デビュー

2005年ベルギー・ブリュージュ国際古楽コンクール優勝のバロック・ヴァイオリニスト高橋未希さんの東京でのデビューリサイタルがHAKUJU HALLで開かれた。彼女は、国内では古楽器の勉強をしておらず、また、ドイツなどで活躍しており、日本人古楽器奏者との接点もほとんどないため、これだけの実績がありながら国内では全く無名。しかし、今日のコンサートをきっかけに、スポットライトを浴びて輝き始めるであろう。

今回は、前半は初期バロックからシュメルツァー、ビーバー、そしてヴィヴァルディのソナタなど、後半はガラッと趣を変えてテレマンとバッハのソナタ。

冒頭から彼女のよさが前面にでた。日本の古楽器特にヴァイオリン奏者はどちらかというと繊細な感じが多いが、とにかく音楽が力強くて熱い。ハートがある。そして切れがいい。それでいて、ひたすらマッチョということではなく、様々な音色や音量を駆使し、繊細な表現も聴かせる。細部までよく考えられた表現である。どちらかといえば華奢でかわいい外見からはとても想像できないほどパワフルで集中力がある。ボウイングテクニックも左手も抜群の安定感。とにかくめちゃくちゃ上手いし、難しい曲が全く難しく感じられない。だから、聴いている方も安心して音楽に集中できる。そして、ソリストとしての雰囲気、風格をもっている。アンサンブルやオケプレーヤーとは違う輝きがある。楽器がドイツ製のせいか、派手さはないが渋くて味わいのある音。シュメルツァーやビーバーにはピッタリである。

正直、前半を聞き終わった時点では、日本の女性バロックヴァイオリン弾きとしては、郷土や大学の大先輩でもある若松夏美さん以来の逸材、彼女の跡を継ぐヴァイオリン弾きだと思った。そして、あの若さでここまできてしまったら、ここから先いったいどうなるのだろうと心配になるくらいだった。そして、ぜひ、J.シュタイナーの楽器を弾く機会があればよいなと思った。

後半は、テレマンのターフェルムジークのヴァイオリンソナタとバッハのチェンバロとのソナタの第6番。あまりにも意欲的といおうか挑戦的な選曲。2曲とも、テクニック的にはアマチュアでも弾けるくらいの曲で調性も比較的楽なのだが、聴き栄えがする曲ではなく、これを聞かせるには相当な音楽性が必要だという大変難しい曲である。バッハならトリには3番とか4番の方がはるかに聞かせやすい。第6番はチェンバロに花を持たせるという意味ではよいかもしれないが、ト長調だし技巧的にはたいしたことないので音楽性で勝負するしかないという怖い曲。もちろん素晴らしかったのではあるが、テレマンの終楽章のテンポを変えるところが少々どうやりたいのかよくわからないところがある、など、音楽的な難しさを改めて感じてしまった。

しかし、トータルとしては本当に素晴らしい演奏だったと思う。デビューとしては最高だろう。恐らくファンも増えたと思う。私もファンであり支持者になった。是非またコンサートをやってほしいものである。

とにかく古楽ファンには、この名前を是非覚えておいてほしい。

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