古楽唱法と尻
去る2月26日、世田谷区のとある酒場で「古楽唱法と尻」というテーマで討論会が開催された。つまり、尻と古楽唱法にはどのような関係があるか、どのような尻がふさわしいかということを真剣に議論しようということである。この日は、特に女声における尻のあり方がメインテーマになった。とはいっても、これは、決して妖しげなオジサンの会ではない。座長を始め、多くの参加者が女性歌手または女性金管楽器奏者ということで、助平精神は微塵もないのである。
前置きはともかく、なぜこのような議論が行われたかというと、やはり、女声における腹式呼吸のメカニズムであり、どのような筋肉がどのように働き、また、骨格がどのような影響を与えるのかということに尽きる。一般的に女性のウエストは左右にくびれていて薄い。しかし、歌手が腹式呼吸を行う場合には、そのウエストがまるで筒のような状態になるという。一流になればなるほどふくらみが大きいという。しかも、驚くことに腹側ではなく、背中側、ちょうど腰方形筋、腹斜筋の左右が膨らむというのである。それを見ているとすごいと彼女らは言う。
さて、そのメカニズムをもう少し細かく考えてみると、腹部、腰部はいわば骨盤の上に乗った状態になっている。その骨盤は大きく幅広で、しかも深い。そして、骨盤は一つの骨ではなく、いくつかの骨が軟骨などで結合しており、出産などの際には骨盤が大きく開く。そして骨盤を開かせるのは殿筋といわれる尻の筋肉であり、骨盤に連なるいくつかの筋肉である。大腰筋なども関係するであろう。つまり、筒状になるためには、骨盤を開いた状態にするだけの筋肉が必要だということになる。また、声が骨に響くよう、少しでも空気が腹に入るよう、骨盤は大きい方がよいのではないか。
と考えると、歌手にふさわしい尻の形というものがおのずと見えてくるというのである。それは同時に女性の目から見ても美しく、惚れ惚れとするような尻になる。
これは、女性管楽器奏者、とりわけ肺活量が必要な大型金管楽器奏者にもいえるらしい。
女性歌手同士は、他の歌手の顔や胸ではなく、とにかく背中と尻を見て感心し、魅力を感じるものらしい。本番前の更衣室ではそういうことが行われているらしい。BCJ合唱団員からもそういうことを聞いたことがある。さらに、本番でも前の女性の尻は気になるらしい。もし、男性が女性歌手に同じことをやればたちまちセクハラで訴えられそうだが、女性同士ではそういうこともない。このように言われると、次に機会があれば、女性歌手の腰と尻を観察してみたくなるのが人情であるが、VNは歌手より前にいるし、やはりシャイなAHにはできそうもない。楽譜にしがみついているのが一番似合う。やめておこう。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント